(んっ?今、なにか光った)
俺と紫耀は、NHKホールの楽屋へと続く廊下を
歩いていた。
ピカピカ光てるそれに、全く気づきもせず歩き続けている紫耀。
とたん見つめたまま固まってしまい…
(この声、二階堂じゃん!?宏光に何かあったのか)
「はっ、永瀬!?」紫耀の瞳がみるみる驚きの表情へと変わってく、とつぜん今度は指にはめていた宏光のリングがサングラスと連動するかのように輝き始め。
コクンと頷く紫耀が見つめる先に2つの光が、まるで円を描くかのごとく壁へと射し込んである映像を映し出す。
(なっ!?)
洞穴で光ってる玉を寂しそうに見つめている宏光「全然気づかなかった、いつの間に!?」と、イキなり苦しみ出し。
尋常じゃない、その姿に思わず身を乗り出すと信乃が。
次に、怪しい女が現れ宏光を挑発する。
(あいつが皆を苦しめている元凶か、くっ)
そして洞穴の壁に映し出された映像を見て俺は愕然としてしまった、それは信乃と話をしている自分だったから宏光の表情が更に曇り。
その慟哭が嫌ってほど伝わり、心が苦しくなる。
叫ぶ宏光、光が暴走し抑えるため横尾が飛び込み。
そこに藤ヶ谷、二階堂、宮田が駆けつけ。
目を覚ました宏光が、茫然としながら傷だらけの
横尾を見つめていた。
すると、また場面が切り変わって。
ぐったりしている北山の前で叫んでいる永瀬の姿が。
(仁の玉だって!)
(はっ、消えた)
(そうか!)
俺達はもう1度よく見つめてみる、すると彼奴は
大粒の涙を溢しそれは太陽の光を浴びてキラキラ
と輝いていたんだ。
この光が紫耀と永瀬の2人を繋げたに違いない、
だとすれば。
紫耀は深呼吸をし、それからジーッと永瀬を見つめ想いの丈をぶつけるかのように叫んだんだ。
とたん風が吹き、それは優しく暖かく。
まるで力を貸してくれようとしているかの如く吹き続けた、ふわっと俺達を包み込むかのように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。