第84話

闇との戦い⑦薮side
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2019/11/15 07:06
(んっ?今、なにか光った)

俺と紫耀は、NHKホールの楽屋へと続く廊下を
歩いていた。

信乃
薮殿、隣にいる紫耀という者が首に
ぶら下げている黒い物体は何か?
あぁ~これサングラス…って、
ああっ!?


ピカピカ光てるそれに、全く気づきもせず歩き続けている紫耀。

ちょ、それ誰の!?
平野
えっ


とたん見つめたまま固まってしまい…

二階堂
ミツうぅ~っ


(この声、二階堂じゃん!?宏光に何かあったのか)

永瀬
俺の…せい‥俺の


「はっ、永瀬!?」紫耀の瞳がみるみる驚きの表情へと変わってく、とつぜん今度は指にはめていた宏光のリングがサングラスと連動するかのように輝き始め。

平野
これ…は!?
永瀬のなんだね?そのサングラス


コクンと頷く紫耀が見つめる先に2つの光が、まるで円を描くかのごとく壁へと射し込んである映像を映し出す。

(なっ!?)

洞穴で光ってる玉を寂しそうに見つめている宏光「全然気づかなかった、いつの間に!?」と、イキなり苦しみ出し。

北山
くっ、うぐぐ
宏光!


尋常じゃない、その姿に思わず身を乗り出すと信乃が。

信乃
闇だ負の力に苦しんでいるのであろう
これが闇
平野
‥‥っ


次に、怪しい女が現れ宏光を挑発する。

信乃
あれが怨霊、玉梓


(あいつが皆を苦しめている元凶か、くっ)

玉梓
人間なんてそんなもの結局は自分が
一番可愛い
北山
ちげぇーあいつは、薮はそんな奴じゃない、うっ、くぅ~はぁはぁはぁ
玉梓
なら見せてやろう


そして洞穴の壁に映し出された映像を見て俺は愕然としてしまった、それは信乃と話をしている自分だったから宏光の表情が更に曇り。

玉梓
ふふふっ、とうにお前のことなど忘れ向こうで楽しそうにしているではないか
北山
うるせぇーや変な幻影を見せるんじゃねぇ


その慟哭が嫌ってほど伝わり、心が苦しくなる。

ごめん…ごっ‥
平野
薮…くん
くっ


叫ぶ宏光、光が暴走し抑えるため横尾が飛び込み。

こんな事が起こっていただなんて


そこに藤ヶ谷、二階堂、宮田が駆けつけ。

平野
みんな合流していたんですね


目を覚ました宏光が、茫然としながら傷だらけの
横尾を見つめていた。

平野
これって本当に起こった事なんですか
そうだよ紫耀


すると、また場面が切り変わって。

永瀬
北山くん、お願いします目を覚まして下さい


ぐったりしている北山の前で叫んでいる永瀬の姿が。

信乃
どうやら闇に捕われてしまった
ようだ
なっ、どうしたら宏光を引き戻せる
浜路
仁の玉を
平野
えっ
信乃
浜路!


(仁の玉だって!)

浜路
ここは犬江親兵衞の守護を得たあの者が向こうへ引き込まれた場所
平野
廉は、ここで?
浜路
仁の玉は…あの者の涙の中‥に…それを‥光りの…戦士に‥かざ…せば闇の力‥弱まり


(はっ、消えた)

信乃
浜路、くっ
平野
でも、どうやって廉と話をしたらいいんですか?
確かに、あいつはまだ玉を持って
ないし
平野
それって例の?
あぁ、伏姫の玉さ


(そうか!)

涙と言ったよね?
平野
はい
もしかして試してみる価値があるの
かも知れない
平野
えっ、どういう?
見てごらん永瀬のあの眼を


俺達はもう1度よく見つめてみる、すると彼奴は
大粒の涙を溢しそれは太陽の光を浴びてキラキラ
と輝いていたんだ。

平野
分かった、あの中に
そうだ、きっと


この光が紫耀と永瀬の2人を繋げたに違いない、
だとすれば。

平野
俺、やってみます
紫耀
平野
このまま見ているだけなんて嫌だから
大丈夫、きっと伝わる
平野
薮くん
うん


紫耀は深呼吸をし、それからジーッと永瀬を見つめ想いの丈をぶつけるかのように叫んだんだ。

平野
廉、廉、聞こえる?俺の声、伝えたいことがあるんだ返事をしてくれ廉


とたん風が吹き、それは優しく暖かく。

まるで力を貸してくれようとしているかの如く吹き続けた、ふわっと俺達を包み込むかのように。




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