第92話

闇との戦い⑮横尾side
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2019/11/20 05:04
それは、見るに耐えられない光景だった。

宮っちによって太輔たちから引き離された俺はただ見ている事しかできず、そんな自分が情けなく地面に拳を叩きつけ悔しさをぶつける。

宮田
横尾さん、やめなって傷口に触る
横尾
なんの為に、なんの為に今日まで


(太輔がどれだけミツのことを想って来たか苦しさに耐え、それでも傍にいたのは愛するミツに辛い思いをさせたくなかったから)

横尾
なのに、その結果がこれか
宮田
横尾…さん


聞かなくても長年、近くで見て来たからこそ分かる。

きっと本当のことが言えず邪険にしていたに違い
ない、あの時だって化け猫に近づけないようにし
ていたのは追い込みたくなかったから「そうでしょ太輔」

横尾
全ては無駄だったと言うわけ、
して来たこと全部、くっ


「じゃどうすれば良かったんだ?」と、そのとき。

宮舘
横尾くん宮田くん聞こえますか


(この声はダテ!?)

宮田
聞こえてるよ
宮舘
薮くんからの伝言です
横尾
えっ、薮?
塚田
あいつ電話して来やがってさ
宮田
塚ちゃん


(何処から?)

佐久間
今の北山くんを助ける方法が1つだけあるって
横尾
それ本当か!?
阿部
ただし
宮田
難しい事なんだね
横尾
それでもいいミツが助かるのなら
俺は、なんだってする
戸塚
やるのは廉さ
宮田
えっ
宮近
廉の仁の玉の力でなければ出来ないんだそうです
宮田
どういう意味?


しかし、トッツー達からその方法を聞いた俺らは
愕然としてしまう。

宮田
無理だ、そんなこと!また廉に
キタミツを斬らせるだなんて
如恵留
けど仁の加護を持つ廉でなければ闇は見えません
宮田
だからって
横尾
お前らは見ていなかったから分から
ないだろうけど
戸塚
いや見ていたよ
宮田
どうやって!?
渡辺
詳しくは後で千賀くんか玉森くんにでも聞いて下さい、それより
宮田
だったら
七五三掛
でも、やらなければ北山くんは
横尾
また闇に堕ちる、そう言いたいんだね
阿部
そうです


(なら、やるしかない)

宮田
分かった廉には俺から話す
横尾
みや
宮田
あいつとはドリボで共演し、一緒に
千ちゃん達とメシを食った仲
横尾
いや俺にやらせてくれ
宮田
横尾さん!?
横尾
太輔とミツの為に、自分も何かしたいんだ
宮田
だったら2人で行こう
横尾
連れて行ってくれるの?
宮田
当たり前じゃん


(ふっ、宮田)

宮田
キタミツを助けたい気持ちはみな同じ廉も


(きっと恐怖に打ち勝ってくれるに違いない、そう
信じている)

トッツー達の話によれば仁の玉の光を刀に吸収させるとミツを包み込んでいる闇が見えるようになるらしい、そしてそれを斬れば苦しみから解放されるというんだ。

(さっきはまだ永瀬が玉を手に入れていなかった
から、ミツを追い込んでしまったというわけか)

宮田
仁の玉ってすっげ~


(しかし薮は、なんでそんな事を知っているんだろう?いったい何処にいる電話をしてきたってことは彼奴らと一緒じゃないって事だよね)

俺は気にはなりながらも、宮田と太輔たちのもとへ急ぐ。

玉森
ワタ!?
千賀
どうしてこに?危ないじゃん


俺達がそこへ行くと、3人とも驚いた顔をし。

横尾
永瀬、話がある
永瀬
俺に…ですか?
横尾
ミツを救う方法が1つだけあることが分かった、やれる?
玉森
どういうこと
千賀
なぜ廉に?


俺は薮からの伝言をそのまま3人に伝えた、すると見る見る永瀬の顔から血の気が引いていき。

千賀
無理だ!
宮田
じゃ千ちゃんはキタミツがどうなってもいいってわけ
千賀
そうじゃないけど
玉森
宮田、こいつは
横尾
分かっているよ
宮田
俺達だって最初は
横尾
けど、あれを見て


俺は、少し離れた場所で寄り添い必死で闇と戦っているミツと太輔を指差し言った。

横尾
あいつらを見ても、そんな事が言える


その姿に、もう誰も言葉を発することが出来ず。

永瀬
俺、やります
千賀
廉!?
永瀬
それで北山くんを助けることが出来るのなら


俺らはミツと太輔がいる場所へと向かう、ただ健永だけは何故だか周りを気にしてることに気づく。

そして、その視線の先にいたのは…

(誰もが、みな身体を張って生きていた時代だから
こそ貴方は俺達に何かを感じて欲しかったのかも
しれないですね)

「ちゃんと受け止め未来を見つめ歩いて行くことを」それが自分らがしなければならない事だと、
考えさせられるような出来事がこのあと起きる。

しかしそれは、ますます俺達の結束が固まる結果ともなったんだ。

(その為にあんな事をしたというのなら凄い人だゝ大法師、あなたの瞳が見つめる未来には何が映っていたのか?)

それを聞いてみたかったと後になって思う。




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