「目指すは南」俺とタマは、ひたすら歩き続けて
いた。
あのとき、泉で見た光景が気になって仕方なく。
そこにいたのはニカと宮田そして綺麗な女の人が
1人、繋がっていることに気づく前そこでは多分
重要な何かを話していたに違いない。
(そうだろニカ?お前の叫び声、半端なかったもん)
けど泉を通し途中から聞いた俺達には何がなんだかサッパリ分からず、ただそのときのお前の姿を見てこれだけは分かったミツに何かあったに違いないと。
(それに横尾さんや廉がどうのこうのって、いったい何が起こってるっていうんだよ?)
きっとあれからニカと宮田はミツを追い、もしかすると既に合流しているかもしれない「だから俺達も急がなくちゃ」そう思い歩いていると。
キキキッ、バサバサバサ、不気味な鳥の鳴き声と
飛び立つ羽音が聞こえ。
奇しい妖気に包まれた奴が俺達の前に姿を現す。
(網乾だって!?あのミツを斬ったという)
(それってミツのこと?)
「こいつ、いったい何が言いたいんだ?」俺はグッと唇を噛みしめ網乾を睨みつけた。
(なんだよ?その意味深な笑い)
そう言うと網乾は姿を消してしまい「ぬいに何か
あったというのか?」
俺は、言い知れぬ不安に駆られる。
それはタマも同じで…
(ごめん俺がこの世界へ来たせいで、お前をこんな目に遭わせてしまい護ってやれなくて独りにしてしまって本当にゴメン)
「せめて俺の手で本当の兄貴のところへ逝かせてやるから許してくれ、ぬい」
俺の可愛い妹ー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!