第90話

闇との戦い⑬北山side
303
2019/11/20 03:17
目を覚ましたら俺は、藤ヶ谷の腕の中にいた。

(そっか、お前ずっとそうしててくれてたのか)

前を見るとタマと永瀬の顔が見え「戻って来れた」そう思ったのもつかの間、俺の中であいつ玉梓の声がしたんだ。

玉梓
殺せ、あの者を!あやつは邪魔だ
北山
くっ、なんだ?お前
玉森
ミツ?
藤ヶ谷
どうした
玉梓
殺せ仁の玉を持つ男をその手で
北山
はっ?バカ言ってるんじゃね
永瀬
誰と喋っているんですか?
玉梓
抵抗しても無駄じゃ、ふはははっ
北山
俺は、お前の言いなりになんか
ならねんだよ
藤ヶ谷
北山!


しかし、身体は自分の意思とは関係なく勝手に動き出す。

藤ヶ谷
おっ、おい
玉森
動いちゃダメだって怪我をしているんだから
玉梓
こやつは、お前を斬った
北山
うっ…せ‥わ
永瀬
どうしちゃったんですか?北山くん
玉梓
やられたらやり返すのが道理ではないか、そうであろ?クククッ
北山
俺の周りでゴチャゴチャ言うな


けど、俺は仁王立ちとなり抜いた刃を廉へと向けている。

永瀬
き…た‥やま…くん


(くそぉーっ、クッ)

永瀬
そう…ですよ‥ね…俺が北山くんを刺したんだ
藤ヶ谷
永瀬お前なにを言っているんだよ
永瀬
いいですよ斬っても
藤ヶ谷
バカ、北山も刀を下ろせ
北山
や…め‥ろ…クッ
玉森
ミツ?
北山
こい…つに‥手を…出すな‥ハァハァハァ
藤ヶ谷
えっ
北山
…この‥クソッ…玉梓あぁーっ
玉梓
クククッ、あはははっ


(ふざけやがって!ハァハァハァ)

藤ヶ谷
落ち着け、そんな身体で動くんじゃ
ない


俺を必死で抑え込む藤ヶ谷。

玉梓
そやつも殺せ
北山
くっあ、藤ヶ谷、離せ俺にひっつくな
永瀬
北山くん!
玉梓
邪魔するやつはみな敵じゃ、クククッ


(くっ、このままだと俺はこいつらを冗談じゃない)

玉森
今は近づいちゃダメだ廉、ミツは普通じゃない
藤ヶ谷
何をしているタマ早く永瀬をあっちへ連れて行け
北山
やっ…めろ、俺の身体を‥勝手に
動かすんじゃね
永瀬
北山くん、しっかりして下さい
北山くうぅーん
北山
廉、早く…俺から離れろ
永瀬
嫌です俺は北山くんを助けるって決めたんです
玉森
廉!


「頼むから言うことを聞いてくれ」タマが無我夢中で廉を俺から引き離す。

永瀬
北山くうぅーん


その悲痛な声が心に痛い。

北山
ふ…じ‥がや…俺から‥離れろ…クッ


「お前にも危害を加えるかもしれないんだ」が、
こいつはそれを無視し。

北山
俺…は‥お前…を‥傷つけたく…
ねんだ‥頼む


あげく人の顔を見て微笑みやがって「俺を信じてるって言うの?一緒に戦うとでも、このバカやろう」

北山
くっ…ハァハァハァ‥なに…考えて‥いる…んだよ‥相手は…俺の‥中に…いるん‥だぜ
藤ヶ谷
俺は北山のことしか考えていないよ、
ふっ
北山
あっ、ぐふっ
藤ヶ谷
北山!


(やっべ廉に刺された傷が)

北山
なら…俺の‥こと…お前に‥託す
藤ヶ谷
どういう意味?
北山
もし…俺が‥くっ…死んだら
藤ヶ谷
なっ、なにバカなことを言って
いるんだよ
北山
大マジだ、ふっ
藤ヶ谷
北山
北山
迷わず…その刀で‥俺を斬れ…いいな
藤ヶ谷
‥‥っ


「俺は化けもんなんかになりたくねんだキスマイの
北山宏光のままで死にたいんだよ分かるだろ?お前なら」藤ヶ谷の瞳をジッと見つめ。

藤ヶ谷
分かった、けどそれは最終手段だ約束してくれ絶対に負けはしないと
北山
あぁ、ふっ


(俺はまだ死ぬわけにはいかないから、これからやりたいことが沢山あるんだ何よりも俺お前らと別れたくないし、横尾さん宮田・ニカに千賀・タマ、そして藤ヶ谷、俺らは皆1つの家族だKis-My-Ft2という)

玉梓
ふっ、小賢しい


(ほざいていろ、怨霊)

宏光!


「はっ」そのとき薮の声が聞こえ「やっぱり気の
せいじゃなかったんだな」

孝の玉を握りしめろ絶対に離すんじゃない


(孝の玉?)

それが、お前を護ってくれる


(薮お前、なんでそんな事を?)

いいから早く


訳が分からないまま言われた通りにすると。

信乃
北山殿、私の名は犬塚信乃
お主の守護霊だ


(俺の?そうか親父の息子の)

信乃
父上が世話になったな、ふっ


(そのお前が、なんの用で?だいいち守護霊ならどうして今まで傍にいなかった)

信乃
訳あって薮殿と行動を共にしている


(薮と?)

信乃
よいか仁の玉の光を再び浴びたとき
孝の玉の光を自身に浴びよ、さすれ
ば闇を振り払うことが出来よう


(永瀬のをか)

ただしチャンスは1度だけ


(失敗したら?)

信乃
命はない


(なるほど)

宏光


(心配するな俺は絶対に助かってみせるから)

信じている


(あぁ、目をつぶれば皆の顔が見える)

横尾
ミツ、俺も太輔と一緒に支えるから
宮田
キタミツ
千賀
ファイトだ
二階堂
傍にいるよミツ
玉森
俺も一緒に戦う
永瀬
北山くん


そして、顔を見上げれば。

藤ヶ谷
ふっ


相棒、藤ヶ谷太輔の笑顔があった。

(そうこの顔だ、お前の笑顔を見ていると心が落ち
着く)

俺は後ろにいる藤ヶ谷に、もたれ掛かるように自分の身を預けそのときを待った廉が俺の前に来るのを。




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