第17話

護るべきもの②宮田side→北山side
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2019/09/01 06:14
(こいつら、いったい何なんだ)

きゃあぁーっ
やめて助けてぇ
こっ、子供たちだけは
子供
怖いよぉ~
子供
お母さん、お父…さん‥僕…死にたく‥ない…ガクン


(くっ…)

宮田
うおぉ~やめろ!やめてくれぇーっ


(ボッ、ボワッ、ボッ、俺は誰に対し火を放っているんだよ)

「ぐはっ、ううっ」「ぎゃあぁーっ」「ぐああっ」

(同じ人間だ、いや…違う化けもんだ、あんなの仲間なんかじゃない)

自分が放った炎が、全てを焼き尽くす。

子供
おじ…ちゃん‥
宮田
おい、しっかりしろって
子供
ご飯…美味し‥かった…よ、ガクッ
宮田
眼を開けてくれ、なぁ
子供
‥‥‥
宮田
うっわあぁ~っ


それはまるで地獄絵図のような光景だった、とつぜん不可思議な軍団が現れイキなり襲って来て次から次へ皆を殺していき。

(こいつら、なんも悪いことしていないのにどうしてこんな目に遭わなきゃならないんだよ)

気がつけば自分だけが取り残され独り焼けただれた土地で茫然と立ちつくし握り締めた拳が掴んでいた物は…

「これは、あの時の」ふと思い出す、可愛い少女の笑顔。

少女
道節のおじちゃん
宮田
んっ?なに
少女
あげる
宮田
いいの?大切な宝物なんでしょ
少女
うん、おじちゃんのこと大好きだから
宮田
ありがと、ニコッ
少女
その代わり大きくなったらお嫁さんにしてね
宮田
へっ?
少女
約束だよ、んふふっ
宮田
あはっ、アハハッ


この玉には、そんな愛らしいあの子の気持ちが篭っている。

(なのに…くっ)

俺の腕の中で身体を小刻みに震わせ逝ってしまった、一言も言葉を発することが出来ないまま。

(ゴメン、守ってやれなくて)

悔し涙が頬を伝ってくのを俺は拭おうともぜず泣き崩れた。と、そのとき。

ピカッ!

(なっ、なんなんだ!?これ手の中で光っている)

拳は光を放ち、そっと開けてみると浮かび上がった【忠】という文字。

(えっ?)

驚き見つめていると聞こえて来たのは…

宮田くん、どこ行っちゃったんすか


(この…声‥?)

俺が突き飛ばしたりしなかったら消えたりはしなかったんですよね?


(佐久…間?)
佐久間
宮田くうぅ~ん
宮田
佐久間あぁーっ
佐久間
‥‥っ


その言葉が忘れていた遠い記憶を甦らせる、
あの日 俺はタマと一緒に秋葉を歩いていた。




・千賀side

(はっ、宮田!)

今、確かに宮田の姿が見えた気がした。けど水面が波打ち消えてしまい…

二階堂
どうかした?
千賀
あっ、うん


あげくニカに声を掛けられ説明することが出来ず、言葉を詰まらせてしまう。

(だってそうじゃん誰が信じると思う?水に映っていただなんてさ「バカじゃね」って笑われるに決まっている)

千賀
なんでも…ない
二階堂
そう


(お前が一番苦しいときに俺は知ってて傍に行かなかったんだから)

二階堂
あっ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど
千賀
なに?


(それを知ったら「許せねぇ」って怒鳴るんだろうな、でもなんにも言えない事実そうなんだし)

二階堂
ミツを止めてくんない、俺らと一緒にタマの所へ行くってきかないんだ
千賀
それは
二階堂
あの怪我でだ無理だっつうの
千賀
でも俺達が止めてもミツは意思が固いし、やめないと思う
二階堂
おまえ心配じゃないの
千賀
そんなわけ
二階堂
じゃなんでだよ?


俺は宮田のことも気に掛かっていた、何かあったに違いない嫌な予感が脳裏をよぎる。

千賀
タマもニカと同じミツにとっては今でも可愛い弟
二階堂
そんなの分かっている
千賀
だったら
二階堂
でも、ここは室町時代だ俺らの世界みたいな医療はないんだせ何かあったらどうするんだよ


(確かに、そうだけど)

二階堂
冷たいなぁ~お前、もういいよ頼まない俺が説得するから
千賀
ニカ!


(行っちゃった、怒らせてしまった「冷たい…」か、だよなシンメのお前が独りぼっちでいたときも俺は放っておいたんだもん)

法師
あまり御自分をお責めにならない方がいい
千賀
ゝ大さま
法師
誰でも人は奥に何かを抱え生きているもの
千賀
‥‥っ
法師
口に出して言えないこともあろうが
真の絆さえあれば出さずともおのずと相手に伝わる日が来る、それを信じて待つのだ
千賀
はい、有り難うございます


(この人って不思議、話していると気分が落ちつく)

千賀
俺、ミツの所へ行って来る
法師
そうなさるがいい


(自分も、あんなふうに人の心に語り掛けられる人間になりたい)

千賀
ミツ
北山
なんだよ今度はお前か
千賀
あれ?ニカは
北山
よく分からないが怒って行っちまった


(本当は分かっているくせに)

千賀
ミツも怒らせちゃったんだ
北山
って、お前も
千賀
えへっ
北山
しょうがないなぁ~もう
千賀
そっちこそ、クスッ


俺とミツは、互いに顔を見合わせ苦笑いをし。

北山
あいつの気持ちも分からなくもない、俺に怪我を負わせた責任を感じているんだろ
千賀
ニカはミツの事が大好きたから、もちろん俺も
北山
お前はいいわ
千賀
どうして
北山
ガハハハッ


(こうして見るとミツはすっかり元気になったように見える)

千賀
ねぇ~どうしてだよ
北山
ガハハッ


(やっぱりニカが気にし過ぎなんじゃ?)

が、俺は軽く見ていたんだ傷口を見たわけではなかったのもあるけど。

(ニカ、お前は知っていたんだよな尋常じゃないって)

暫くし、ふてくされながら戻って来たニカはミツの意思の強さに負け渋々一緒に行くことを承知する。

そして、出発は明日と決まり。

(待っていろタマ、もうすぐ迎えに行くから)





・北山side

(傷口はだいぶ治ったはずなのに、なんでだろ?時々やつに斬られた部分が熱くなる。

気のせい…だよな?だってあの法師も大丈夫だって言ってたじゃん、なぁニカ?)

が、毎日キズを消毒し手当てをしてくれているニカの表情は暗い。

(お前、どうしてそんな顔をしているんで?言ってみ)

そう思いながらも俺自身、その理由を聞き出せないでいた。

千賀もまた、無理して明るく振る舞っているようにも見え。

(何があったんだ?2人とも俺がこんなんだから言えないでいるのか、もう大丈夫だって)

そう平気だと思っていた、あの苦しみが襲って来るまでは自分の中で何かが動き出したことを俺はまだ気づいていなかったんだ。

それは悪魔だったのかもしれない、誰の心の奥にも潜んでいる闇の心。

俺達3人は傍にいながらもそれぞれが秘密を抱えてる現実に今後、振り回されていく事となる。




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