(嘘だ、そんな事って)
トッツーと2人、キンプリの連中へ廉のことを話しに行った帰り。
暫く街をうろついて戻ってみると既に紫耀たちは
自分の家へ来ていてさ、みんなで玉森と話をして
いたんだ。
それから、宮田と二階堂に繋がり伏姫から宏光の
緊迫した状況を知らされて。
が、佐久間たちは玉森との話しに気を取られ肝心
な部分を聞いてなく彼奴ら二階堂の叫び声で初め
て繋がっていることに気づいたから。
けど俺は、ドア付近にあった宮田のキーホルダーが光っているのをいち早く気づき。
(頼む違うと言ってくれ)
あいつらが気づいたとき何故だか咄嗟にドア越しへ隠れてしまい、どうしてだかは分からないけど。
(絆→大切なものを想う気持ちが宏光を救うことに
繋がるキーワードになるっていうのか?)
独り、道を歩きながら心の中で呟く。
(なら俺は自分なりのやり方で彼奴を助けてみせる、その為ならなんだってやるさ宏光を失うなんて考えられないんだから)
まだJr.だったころ辛いとき苦しいとき、いつも傍にいてその笑顔を俺に向けてくれた。
(こっちこそ泣きたいとき挫けそうなとき宏光が頑張る活力をくれたから)
先にデビューが決まったときも、そう言って背中を押してくれた。
(宏光が頑張っている姿を見ると自分も負けてはいられないって、だから、だから俺は…くっ)
ふと、声が聞こえた気がし空を見上げる。
すると何処からともなく誰かが話し掛けてきて、
キョロキョロと辺りを見渡したがらしき姿はなく。
(つまり、あっちの世界へ繋がる道ってこと?)
(光り?希望、ならそこから宏光のところへ行けるんだな)
(そん…な)
(構わない、それであいつが宏光が助かるのなら
俺は)
(宏光、必ず見つけてみせる月の道を。そして助け
出す、それまで頑張れ負けるんじゃないぞ)
俺は、みんなには内緒で月の道を探すことにし単独行動を決意する言ったら止められるのがオチだから。
トッツー塚ちゃん、宮近、如恵留、翔太、佐久間、阿部ちゃん、そしてキンプリのみんな。
(ごめん…けど、どうしても宏光の力になりたいんだ自分勝手な俺を許してくれ)
脳裏に浮かぶJUMPのメンバー1人ひとりの顔、首を横に振り払うかのように動かし前を見据えて歩き出す。
大切な宏光の指輪を自分の指にはめ、そんな姿を
見守るかのように優しく風が吹いた。
まるで、勇気づけてくれるかの如くに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。