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第69話

光と闇の心⑦永瀬side
あの日、少クラの収録が終わったあと。

戸塚
廉、まだいたんだ?
永瀬
ちょっと考えごとをしてて
戸塚
あんまり遅くならないうちに帰った方がいいよ
永瀬
はい


それから暫くし、なんだか誰かに呼ばれているような気がして廊下を歩いているとイキなりビューッと突風が吹き。

永瀬
うわっ、なに!?これ


室内なのに有り得ない話し、俺の身体は否応なしにズルズルと引きずられポッカリ開いた穴の中へ。

永瀬
ちょちょ、待って嘘だろ紫耀おぉーっ


咄嗟に叫んだ、その名の相手に届くわけもなく悲痛な声は虚しく響き渡り気がついたら暗闇の中にいたんだ。

永瀬
ここ何処?


怖くて、とにかく怖くてさ得体の知れない空間で。

どうして自分がこんな所に引きずり込まれたのか?サッパリ分からず、その場でうずくまりジッとしていると奥の方で何かが光りを放ち「あれは?」目をこらし見つめる視線の先に北山くんの姿が。

永瀬
はっ、北山くんだ!北山くうぅ~ん


俺は必死で叫んだ、けど風の音で聞こえないのか
全く気づいてくれず手探りで這いながら、そこへ
向かおうとしたら。

「ざわっ、ダメ!」

(えっ、なに?なんだよ行かせてくれ行きたいんだ)

「ピューッ、そっちじゃない、こっち」

(うわっ、そんなに強く吹かないで)

まるで押し問答をしているかの如く向かい風になり押し寄せて来る風に俺は歯向かうように抗い続け。

永瀬
きっ、北山くん、北山くうぅ~ん


と、その背中が俺の方へと振り返り。

北山
廉?お前、永瀬廉か


やっと、気がついてくれ。

北山
どこ?何処にいる


「ここです、ここ」俺は精一杯、手を伸ばす。

ピューッ!

でも、その間も風はさっきよりも強く吹いて来て。

永瀬
邪魔をするな


思わず叫んだ、そのときガシッと腕を掴まれ。

北山
捕まえた
永瀬
北…山‥くん
北山
大丈夫か?
永瀬
あ、はい、ううっ
北山
良かった、ふっ


嬉しくて、その言葉が嬉しくて顔は見えないけれど声も温もりも確かなもの。

が、ホッとしたのも束の間「ざわっ、まだダメ」

(えっ、何を言っているんだよ?)

ざわざわ、ざわっ、そのざわめきに俺は風が何かをしようとしていることに気づき。

永瀬
やめろおぉーっ


ビュウーッ、そう叫んだのと強く風が吹いたのが
ほぼ同時で。

北山
うっわぁ~れぇーんっ
永瀬
北山くうぅーん


そして竜巻みたいに荒れ狂う風に、その叫び声は
掻き消され気がついたら俺は綺麗な滝が流れる森
に独りでいたんだ。

玉梓
哀れな、あの者はもう助からん
永瀬
誰?


すると、何処からともなく声が聞こえて。

玉梓
時空の狭間でさ迷い続ける運命じゃ、そなたがそう仕向けた
永瀬
違う…俺‥じゃあ…ない
玉梓
あの竜巻は、そなたが起こしたもの
永瀬
俺は何もしていない、なのにどうして?なんでこんな事に、くっ
玉梓
分からぬか?お前と風の波動が共感し合い、あのような強風を生み出したのだ、だからそなたがやったも同じこと


(そん…な‥)

永瀬
俺は、ただ傍へ行こうとしただけ
なのに
玉梓
くくくっ、何を言っておる?お主が
やったのではないか
永瀬
俺…が‥
玉梓
そうじゃ、お前があの者を殺した
永瀬
違う!
玉梓
哀れよのう己れにとって大切な者の
仲間を自らの手で消し去るとは
永瀬
ちがう、違う違う、ちがあぁーう


悲しみと絶望、罪悪感が重なり俺の心は音を立てて崩れ始める。

そのとき、ふわっと風が優しく身体を包み込み俺はそのまま意識を飛ばして再び目が覚めたときには。

永瀬
ここは、どこ?俺は誰?


全ての記憶を失っていたんだ。




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朱桜
朱桜
歴は10年を越えカッコ可愛い最年長が大好き“これからもずっと見続けていたい”そんな大切な存在だから想いの全てを物語に紡いでいます。 私が描く作品は絶対にKiさんは右で、その隣にいるのはFさん。 同じような気持ちをお持ちの皆さん、一緒に彼らの世界で浸りませんか。 宜しくお願いします―
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