(北山…くっ、佐久間、神宮寺、岸、紫耀、海人、
何をやっている早くしないと)
トルルルー
痺れを切らした藤ヶ谷から電話が掛かって来た、と
そのとき。
佐久間たちが、やっと戻って来て。
と、俺の視界に何やらたくさん持っている紫耀たちの姿が映り。
気にはなるが、今はそれどころじゃない。
シュッ、ボンッ、シューッ、ボンッ、俺らは光りの柱へ次から次へ物を投げ入れてく。
そう、これが藤ヶ谷からの「指令」あいつはあの時
それで、佐久間たちに頼み持って来て貰ったって
わけ。
ピューッ、ボンッ!
けど俺らは投げるのに夢中で全く画面を見てなく。
ピューン!
岸たちに言われ目を向けたら…
北山の表情が怒りから、徐々に苦笑いへと変わってく。
(あれ?俺らの声は聞こえてないはずなのに繋がってないし)
だから自分達にも画面は見えるけど声は聞こえていない、それでも北山は何かを察知したみたいに苦笑すると再び敵に斬り込んで行ったんだ。
どこからか、聞こえて来た声。
(想いは何よりも強い…か)
(「いつも笑っていて欲しい」そうだねその通り俺達は皆で笑っていたい、それが一番の願いなんだから北山、さっさと済ませ戻って来いよ)
俺は、そう思いながら映像の中のあいつに熱い視線を送る。
・北山side
(いったい何人の「もののけ」を斬ったんだ、キーン、ザクッ、20?30、いやそれ以上、カーン、ザクッ、まだいやがる)
傷口からは血が吹き出し足下が、おぼつかない。
タマの悲痛な声が聞こえた。
(くっ、俺は今めっちゃみっともない姿をこいつらに晒しているんだ)
そう思っていると…
(何を言っている宮田)
(ニカまで、クスッ)
(千賀お前、頭でも打ったか)
(俺の…想い?)
「薮、横尾さん」と、そのとき。
藤ヶ谷が叫んでよ「上ってなに?ええっ」
ピューン、ドスン、ピューン、ピューン、ドスン、ズボッ!
「なっ、なんだよ!?あれ」次から次へ落ちて来る
物体、それはバケツ、タライ、チリトリ、モップ
にホウキなど。
ピューン、ピューン、ドスドスッ「俺、怪我人だぞ、わわっ、椅子!?」ドッカーン!
(うおっち、あっぶねぇ今度はなんで?)
ピューン!
(くっ、お前らいい加減にしろ俺を殺す気かぁ~)
這いずり回るようにし落ちて来る物体をよけながら上を睨みつける。
と、小声で言う藤ヶ谷の声が聞こえ。
(今なんて言った塚ちゃん?ははぁ~ん、これは彼奴の仕業か覚えていろ帰ったらただじゃ済まさないんだから)
すると目の前にいた敵が…
(あれあれ?あいつら、また小さくなっている。
ふっ、そういうこと)
「もしかして」俺の頭の中にある光景が浮かぶ、
暗いNHKのテレビ局の中で物色している彼奴ら
の姿が多分すっげぇー必死で俺を助ける為に。
(ばぁーかバレたらどうするんだよ?大変だろ)
嬉しくて、涙が出そうになるのをグッと堪える。
(ふっ)
俺がそう言うと、あいつらの安心した声が聞こえた「見えないのか俺の姿」分かったとたん眼から堪えていた涙が溢れ出す。
(こいつら無茶ぶりすっけど、でもよ俺お前らのこと大好きだから)
耳元にはそんな仲間たちの笑い声がして、それを
聞きながら「どんな時でも笑顔でいられる」そん
な仲間、ダチを持った事をしみじみ幸せに思う。
声だけの大切な人とのやり取り、けど俺には彼奴の笑顔が見えた気がした「帰ってみせる」そう改めて固く心に誓い俺は玉梓との最後の戦いに挑む。
いざ黒の扉へー
しかし、その後の結末に待っていたのは衝撃の事実だった。
人には護らなければならないものがある、その為に何かを犠牲にしなくてはならなかったとしても。
「けど俺はそんなの許さないからな薮、絶対に許さないんだから」
月の道で叫ぶ俺に、周りの誰もが言葉を詰まらせていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。