第141話

最後の戦い⑰塚田side→北山side
279
2020/01/27 03:37
(北山…くっ、佐久間、神宮寺、岸、紫耀、海人、
何をやっている早くしないと)

トルルルー

塚田
藤ヶ谷
藤ヶ谷
まだ?もう限界だ
塚田
分かっている、けど


痺れを切らした藤ヶ谷から電話が掛かって来た、と
そのとき。

佐久間
つ…塚‥ちゃん、ハァハァハァ


佐久間たちが、やっと戻って来て。

塚田
遅い
神宮寺
すみません
塚田
すぐ実行する北山、めっちゃ
ヤバいんだ
マジっすか


と、俺の視界に何やらたくさん持っている紫耀たちの姿が映り。

藤ヶ谷
急げ
塚田
あ、あぁ


気にはなるが、今はそれどころじゃない。

塚田
行くよ
佐久間
了解
平野
どんどん投げます


シュッ、ボンッ、シューッ、ボンッ、俺らは光りの柱へ次から次へ物を投げ入れてく。

そう、これが藤ヶ谷からの「指令」あいつはあの時

藤ヶ谷
何故だか分からないけど、どうやら
奴らは俺達の世界の物が苦手らしい
だから何かを集め
塚田
俺が?
藤ヶ谷
お前らしかいないじゃん
塚田
そうだけどさ


それで、佐久間たちに頼み持って来て貰ったって
わけ。

神宮寺
はい
塚田
あらよっと
ほい
高橋
えい
佐久間
よっ
塚田
どっこい
平野
よっこらしょ


ピューッ、ボンッ!

神宮寺
紫耀、今なにを投げた?
平野
えっ
塚田
手を休めるな
神宮寺
はい


けど俺らは投げるのに夢中で全く画面を見てなく。

塚田
まだまだ行くよ
戸塚
もういいんじゃない?
塚田
何を言っているの、これからでしょ
高橋
はーい、じゃあこれ~


ピューン!

んっ?海人
高橋
うわっ、超楽しい
平野
なんか分からないけど、あははっ
神宮寺
えっ、うわっ!?
佐久間
大変だぁ~塚ちゃん
塚田
なに、どうかした?
あれを見て下さい
塚田
‥‥っ


岸たちに言われ目を向けたら…

塚田
うわっ、めちゃ怒っている何で?
戸塚
まさか変な物を投げてないよね?
紫耀に海人お前ら何を投げて
いたんだ?
高橋
えっと~いろいろと
神宮寺
はあっ?


北山の表情が怒りから、徐々に苦笑いへと変わってく。

(あれ?俺らの声は聞こえてないはずなのに繋がってないし)

だから自分達にも画面は見えるけど声は聞こえていない、それでも北山は何かを察知したみたいに苦笑すると再び敵に斬り込んで行ったんだ。

伏姫
想いは何よりも強い


どこからか、聞こえて来た声。

佐久間
今の…
神宮寺
前にも聞いたことがある
平野
姫さんの声ですよね


(想いは何よりも強い…か)

あの姫君と法師、もしかしたら
高橋
どこかで見守ってくれているのかも
しれません
塚田
そうかも、よし引き続き俺達は北山を援護する、いいか?
平野
了解
紫耀、何を持っているの?
神宮寺
もう投げなくてもいいんだよ
平野
えぇ~もっとしたかったのにぃ
佐久間
それ以上、投げたら北山くんの
雷が堕ちる
平野
じゃ止めときます
あはっ、怒られたくないんだ
塚田
迫力があるから北山は
平野
そうじゃなく俺、北山くんが大好き
なんです!だからいつも笑っていて
欲しい
神宮寺
紫耀、ふっ


(「いつも笑っていて欲しい」そうだねその通り俺達は皆で笑っていたい、それが一番の願いなんだから北山、さっさと済ませ戻って来いよ)

俺は、そう思いながら映像の中のあいつに熱い視線を送る。







・北山side
北山
くっ、はぁはぁ、はぁ


(いったい何人の「もののけ」を斬ったんだ、キーン、ザクッ、20?30、いやそれ以上、カーン、ザクッ、まだいやがる)

北山
うくっ、あうっ
藤ヶ谷
しっかりしろ北山
北山
ぐふっ


傷口からは血が吹き出し足下が、おぼつかない。

玉森
もっ、見てられない浜路姫もう1度、俺を向こうへ行かせて


タマの悲痛な声が聞こえた。

(くっ、俺は今めっちゃみっともない姿をこいつらに晒しているんだ)

そう思っていると…

宮田
そんな事はない俺、めちゃくちゃ感動している


(何を言っている宮田)

二階堂
カッコいいよ益々、尊敬しちゃう


(ニカまで、クスッ)

千賀
今のミツは俺達の全てだ


(千賀お前、頭でも打ったか)

永瀬
誰も、そんなことは思っていないです見ている全員が北山くんの想い、しっかり受け止めていますから


(俺の…想い?)

そうだよ、みんな分かっている宏光の気持ち、だから願ってるだけ
横尾
無事に戻って来い、ミツ


「薮、横尾さん」と、そのとき。

藤ヶ谷
北山、頭上に気をつけろ!
北山
はっ?


藤ヶ谷が叫んでよ「上ってなに?ええっ」

ピューン、ドスン、ピューン、ピューン、ドスン、ズボッ!

「なっ、なんだよ!?あれ」次から次へ落ちて来る
物体、それはバケツ、タライ、チリトリ、モップ
にホウキなど。

北山
ちょ待て、うわっ


ピューン、ピューン、ドスドスッ「俺、怪我人だぞ、わわっ、椅子!?」ドッカーン!

(うおっち、あっぶねぇ今度はなんで?)

ピューン!

(くっ、お前らいい加減にしろ俺を殺す気かぁ~)

這いずり回るようにし落ちて来る物体をよけながら上を睨みつける。

藤ヶ谷
つ…塚ちゃん、ちょっ…とやり過ぎ‥だ、あはっ


と、小声で言う藤ヶ谷の声が聞こえ。

(今なんて言った塚ちゃん?ははぁ~ん、これは彼奴の仕業か覚えていろ帰ったらただじゃ済まさないんだから)

すると目の前にいた敵が…

(あれあれ?あいつら、また小さくなっている。
ふっ、そういうこと)

「もしかして」俺の頭の中にある光景が浮かぶ、
暗いNHKのテレビ局の中で物色している彼奴ら
の姿が多分すっげぇー必死で俺を助ける為に。

(ばぁーかバレたらどうするんだよ?大変だろ)

嬉しくて、涙が出そうになるのをグッと堪える。

玉森
ミツ、大丈夫?
横尾
生きてるか?
宮田
北やん
二階堂
返事をしろ
永瀬
物で姿が見えないです
千賀
おーいミツ
宏光、なぁ~無事なの?


(ふっ)

北山
そう簡単に、くたばったりしねぇよ


俺がそう言うと、あいつらの安心した声が聞こえた「見えないのか俺の姿」分かったとたん眼から堪えていた涙が溢れ出す。

(こいつら無茶ぶりすっけど、でもよ俺お前らのこと大好きだから)

耳元にはそんな仲間たちの笑い声がして、それを
聞きながら「どんな時でも笑顔でいられる」そん
な仲間、ダチを持った事をしみじみ幸せに思う。

藤ヶ谷
立てるか?北山
北山
大丈夫
藤ヶ谷
あとは奴だけだ
北山
藤ヶ谷
藤ヶ谷
んっ?
北山
約束、絶対に守るから
藤ヶ谷
待っている


声だけの大切な人とのやり取り、けど俺には彼奴の笑顔が見えた気がした「帰ってみせる」そう改めて固く心に誓い俺は玉梓との最後の戦いに挑む。

いざ黒の扉へー

しかし、その後の結末に待っていたのは衝撃の事実だった。

人には護らなければならないものがある、その為に何かを犠牲にしなくてはならなかったとしても。

「けど俺はそんなの許さないからな薮、絶対に許さないんだから」

月の道で叫ぶ俺に、周りの誰もが言葉を詰まらせていた。




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