俺達は勝田の城へと到着し、里見の殿様に挨拶がてら今までのことを報告した。
(あぁ、2人はとても幸せそうだった)
緊迫ムードが高まる中、黙って話を聞いている北山に俺は眼で話し掛ける「お前、分かっているだろうな?俺達は全員が元の世界へ帰る抜け駆けは許さない」すると、あいつはふっと意味深な笑みを浮かべ「まさか…」それを見て心に不安が過ぎる。
それから、それぞれに部屋が与えられ束の間の休息をとる事となり。
(お前の背中、何か固い決心をしているように見えるのは俺の気のせい?)
あれは城へ着く数日前、2人でこれからの事について話し合っていたとき俺は彼奴にあることを頼まれた。
(嘘じゃないだろな?俺らは先に彼奴らを帰し最後まで一緒にいる、そう約束した絶対に守れ北山)
(けど北山は…)
(マジで凄い洞察力、こうなる事も分かっていて俺にみやを託したんだとしたら、しかし何処まで1匹狼を貫き通す気なんだか、まぁいい好きにすれば。
でも俺らはいつも一緒だ、心で繋がっていれば必ず想いは成し遂げられる、だから帰って来るって信じているから)
最後の夜、月の光りを浴びて微笑んだ顔は凄く綺麗だった、それを思い浮かべながら俺は待ち続ける。
そう声を掛けてくれるのを…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。