第118話

記憶の破片⑫藤ヶ谷side
239
2019/12/22 04:56
俺達は勝田の城へと到着し、里見の殿様に挨拶がてら今までのことを報告した。

里見
全員が揃ったか皆の者ご苦労であった
永瀬
あの…
里見
どうした?親兵衛
永瀬
ゝ大さまは
里見
その事ならもうよい、あの者は己の
役目を果たしたのだ伏も喜んでいる
であろう


(あぁ、2人はとても幸せそうだった)

里見
ところで玉梓の居場所だが
藤ヶ谷
‥‥っ
里見
どうやら山下定包の屋敷にいるらしい
二階堂
ふっ、怨霊になっても女ってわけか
千賀
そりゃそうだろ男も女も、それは
変わりはしないさ
横尾
なら、そこへ行くんだね俺たち
玉森
いよいよ最終決戦ってわけだ
北山
‥‥‥


緊迫ムードが高まる中、黙って話を聞いている北山に俺は眼で話し掛ける「お前、分かっているだろうな?俺達は全員が元の世界へ帰る抜け駆けは許さない」すると、あいつはふっと意味深な笑みを浮かべ「まさか…」それを見て心に不安が過ぎる。

里見
取り合えず旅の疲れを癒やすがよい


それから、それぞれに部屋が与えられ束の間の休息をとる事となり。

藤ヶ谷
北山
北山
んっ?
藤ヶ谷
さっきのあれ、なんだよ
北山
なんの話し?
藤ヶ谷
誤魔化すな俺には内緒ごとをする
んじゃない
北山
しねぇって
藤ヶ谷
本当だな?
北山
しつけぇよ、これからニカの所へ
行かなければならないんだ悪いが、
そういうのは後にしてくんね
藤ヶ谷
おい、北山!


(お前の背中、何か固い決心をしているように見えるのは俺の気のせい?)

あれは城へ着く数日前、2人でこれからの事について話し合っていたとき俺は彼奴にあることを頼まれた。

藤ヶ谷
みやが!?
北山
宮田にはキツイ現実だ
藤ヶ谷
確かに俺でもそれキツイ
北山
だからよ
藤ヶ谷
ん?なに
北山
そのとき傍にいてあげてくんね、
あいつを支えてやって欲しい
藤ヶ谷
北山
北山
宮田は優しいやつだ
藤ヶ谷
あぁ、メンバー1な
北山
もしできなかったら
藤ヶ谷
分かった、そういう事ならその間お前の傍を離れるのは仕方がない
北山
あんがと、ふっ
藤ヶ谷
しかし無事に済んだらすぐ傍へ行く、それまで先へ進むんじゃないぞ
北山
分かっているって


(嘘じゃないだろな?俺らは先に彼奴らを帰し最後まで一緒にいる、そう約束した絶対に守れ北山)

北山
ところで
藤ヶ谷
んっ?
北山
腹へった
藤ヶ谷
はあっ?


(けど北山は…)

北山
ガハハハッ
藤ヶ谷
お前、なにか1つ忘れてない?
俺はお前に
北山
よーし肉食うべ
藤ヶ谷
はあっ…たく


(マジで凄い洞察力、こうなる事も分かっていて俺にみやを託したんだとしたら、しかし何処まで1匹狼を貫き通す気なんだか、まぁいい好きにすれば。

でも俺らはいつも一緒だ、心で繋がっていれば必ず想いは成し遂げられる、だから帰って来るって信じているから)

最後の夜、月の光りを浴びて微笑んだ顔は凄く綺麗だった、それを思い浮かべながら俺は待ち続ける。

北山
藤ヶ谷


そう声を掛けてくれるのを…




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