俺は南へ向う道すがら、なぜ玉が光らなくなったのかをずっと考えていた。
ってか逆に、どうして千賀と自分は繋がっているのかも。
(いやいや塚ちゃん、それでいいわけ?)
(あっそ…はぁ)
俺は、トッツーか薮のどちらかが戻って来たら教えてくれるよう千賀に頼み続きを考えることにする。
もう1つの疑問、それは。
これも玉と同じで千賀が水を通し覗き見することが難しくなっているのは何故か?
(1度、頭の中を整理してみる必要があるな)
まず最初に千賀が見れたのがミツで次がニカ、2人とも既に玉を持っていてミツは薮と会話もしている。
そして千賀も、ぬいちゃんに会った時点で玉をもらい持っていた。
他の連中を彼奴が見れなかったのは、まだ手元に玉がなかったせい?だって俺のことは見れていたわけだしさ。
(だとすれば…)
通信と同じ、相手が持っていなければ様子を覗き
見することは出来ないってことになる。
それとニカの記憶が戻って宮近と話せるようには
なったけど俺が翔太と話せたのは2人と合流して
から、これはどういう意味なんだろ?そういえば
宮田も既に佐久間と会話をしていた。
(もしかすると…)
ミツと薮、宮田と佐久間に塚ちゃん二組とも大の
仲良しで信頼関係も強い、つまり繋がりって事?
薮⇒ミツ⇒宮近⇒ニカ⇒千賀⇒如恵留⇒翔太⇒俺
佐久間⇒宮田⇒塚ちゃん
繋がりが深ければ深いほど単独でも繋がるけど、
そのレベルに達してない場合は一緒にいるかいな
いかで繋がりの度合いが違うってことなんじゃ。
つまりミツの存在が薮と宮近を繋げニカから千賀、如恵留、翔太、俺へと繋がっていた。
宮田が単独で佐久間や塚ちゃんと繋がったのは、
3人の絆が強いから。
が、ミツが孤立しニカが単独行動をしたことで全ての方程式が崩れてしまったと考えれば納得がいく。
今の時点で、宮田と俺が出会えていれば佐久間や
塚ちゃんと途切れる事はなかったのかもしれない
けど俺達は未だ。
千賀と俺は共に行動している事で、かろうじて繋がっているってことか。
(この仮説があっているなら)
そういえば千賀が言っていた、前に宮田が少しだけ水瓶に映ったことがあったと多分それはそのときに玉を手に入れたから。
が、それ以降はないらしい。
(ミツが単独でも繋がれていたのが駄目になった理由は俺にも分からないけどさ)
と、そのときチャイムが鳴り誰かが来た様子で。
(アニメ鑑賞でね、クスッ…こいつ本当に宮田と一緒だ)
思った瞬間、心にすきま風が吹き寂しさが沸き上がる「会いたい、お前に」
が、そんな俺の心情を打ち破るかのように賑やかな声が聞こえ。
(あははっ、キンプリじゃん相変わらず紫耀は面白い、もしかして廉のことを耳にしやって来たって
わけ)
お前んちでもないよ、そう俺は突っ込みたくなる「しかし、いきなり話し掛けたら紫耀たちビックリしちゃうだろうし」
そう思い、声を出すのを控えていたんだけど。
(えっ、千賀!?)
(聞いてるのかよ!)
(なるほど、それでここへ来たってわけか)
(しょ、紫耀お前ちゃんと勉強して来た?俺や千賀でもそれくらいは知っているよ)
(もういい名古屋人って天然が多すぎだ)
(あっ、阿部ちゃん!やった救世主登場)
俺はさっそく自分の仮説を風呂から出てきた阿部に話してみたんだ、すると「ある1つの答え」に到達する。
それは向こうで繋がっている者すべての人達がこの先、俺達と力を合わせ戦う必要があるという事。
そこに唯一、ミツを救うことが出来る方法が隠されているという事も俺達は後になって知る事となる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。