第49話

希望の光り⑤北山side→横尾side
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2019/10/04 04:13
俺はまた、こいつと一緒にいる。

北山
なぁ
藤ヶ谷
‥‥‥
北山
なんか言えつうの、ちっ
藤ヶ谷
やだね
北山
はっ?


(頑固なやつ、ふっ)

藤ヶ谷
なんだよ
北山
別に、クスッ
藤ヶ谷
くっ


が、お互い何も言わなくても俺逹には通じ合うものがあった、だから。

北山
そろそろ行くか?
藤ヶ谷
あぁ


言葉数が少ないのは相手への思いやり、それも分かっている。

(しかし、なんで横尾さんはあんなふうになってしまったんだろう藤ヶ谷は気にはならないのかな?仲が良かったのによ)

歩きながら考えていると…

藤ヶ谷
知っている?
北山
んっ?


こいつが、とつぜん話し掛けて来て。

藤ヶ谷
この先の山で化け猫が出るらしい 
北山
本当か?
藤ヶ谷
そいつは人の姿に変わり人間を騙しては、その肉を喰らっているという
北山
つまり、もののけ?
藤ヶ谷
そんなとこ
北山
ふーん


(だったら俺は)

藤ヶ谷
退治しに行くとでも言いたそうな
顔だな
北山
ほっとくわけには行かないじゃん
藤ヶ谷
そう言うと思った、ふっ


俺らは、その山へ向かうことにし暫く進むと。

藤ヶ谷
どうやら、つけられているみたい
北山
気づいていたんだ、お前も
藤ヶ谷
さっきの男


(横尾さんだとでも言いたいわけか、藤ヶ谷お前なにを知っている?)

藤ヶ谷
北山が来る少し前、ある村が化け猫に襲われた
北山
えっ
藤ヶ谷
あいつは、その村にいたんだろ
北山
それと俺を狙うのと、どう関係して
いるんで?
藤ヶ谷
さぁ?そこまでは知らない
北山
そっ


(まっ、いい…どうせお前も自分が記憶喪失でない事を俺が気がついているのを分かっているんだろうし。それでもフリをし続けているのは、あのことを知られたくないからか?俺は全然平気なんだけどな)

お前がまた現れたとき、その意思をしっかりと受け止めた。

「傍にいて護る、藤ヶ谷お前そう思っているんじゃない?」それは何があっても変わらない強い意志、ならちゃんと受け止めてやらないと。

(けど、ただ護られているのは性に合わないんだ俺もお前を護らせてもらう、いいだろ?だから俺のために身を投げ出そうだなんて思うんじゃない顔に出てるわ、そんなことをしたら絶対に許さないからな。あと、ちゃんと着いて来てるか?横尾さん)

俺は、後方にいるだろう影に心の中で呟く「お前の本当の仇を俺らがこれから引きずり出してやる」

その山は静かにそびえ立っているが、漂う雰囲気は奇しい空気をかもし出していた。

「前へ進むこと」それは困難に打ち勝ち何かを得ること、そして何事にも逃げない強さを持つこと。

(掛かって来い、もののけ。てめぇらなんかに俺逹は負けたりはしない、それを今から証明してやる)

俺と藤ヶ谷はそれぞれの想いを胸に秘め、そこへと足を踏み入れて行ったんだ。




・横尾side

あれから化け猫が潜んでいる山を教えてもらった
俺は、そこへと向かっていた。

すると奴をその近くで見かけ…

(あのときの男も一緒かって事は思った通り仲間だったんだな山へ戻るのか?なら隙を見て2人ともやっつけてやる俺は絶対にもののけを許すわけにはいかないんだ、あんな非道なやつら)

後をつけ、しばらく進むと木々が覆い茂った場所へと出て。

横尾
うわっ!?


(なんだここ?骸骨がいっぱいだ彼奴こんなに人を
喰っていたのか)

「ふぎゃあ~」

(はっ、この鳴き声は)

ガサガサガサ!

(くっそ~いつの間に周りへ、ちゃんと見ていたはずなのにどうして?)

ザザザァ―

(何処だ、どこにいる?)

「ぎゃあぁーっ」

(いた、木の上)

化け猫
ふふふっ、来たな
横尾
父上の仇、覚悟
化け猫
シャア~


頭上を飛ぶ化け猫に刀を構える。

化け猫
ぐわあぁ―
横尾
くぅーっ


が、身体の上にのしかかられ絶体絶命に。

化け猫
シャアァーッ
横尾
ううっ、くっ…そ


その物凄い形相が顔面のすぐ目の前まで迫って来たそのとき、ピューッと1本の矢が何処からともなく飛んで来て化け猫の眼に突き刺さり。


化け猫
ふんぎゃあぁ―
横尾
‥‥っ


バッ、ガサガサ、ガサッ!その姿は山の中へと消えて行き俺は難を逃れることが出来る。

横尾
ハァハァハァ、いっ、今の…は


ガサッ!

横尾
誰だ


そして草むらを踏み締める足音に後ろを振り向いたら、そこには思いも掛けない奴の姿があったんだ。

横尾
なん…で、お前が


すくっと弓矢を構える姿は凛々しくキリッとした
表情で俺を見つめ、今でも「この時もし化け猫に
1ヶ所でも傷つけけられていたら」そう思うだけ
でゾッとする俺はミツみたいに耐えられる自信が
ないから。

「感謝している有り難う」それから俺達は同じ道へと進むことができた、少なくとも俺はそう思っていた。2人は違っていたのか?だとしてもミツも大輔も自分にとっては大切な仲間、3人で過ごした日々をけして忘れはしない。

いつまでも、ずっと。




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