第135話

最終決戦⑪藤ヶ谷side→宮田side
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2020/01/21 03:24
ザクッ!

藤ヶ谷
マジで!?嘘だろ、みや


その鈍い音に、俺は我が耳を疑った。

子供
うっわあぁーっ
子供
お、おじちゃん


ザクッ、ザクッ!

子供
やめてぇーっ
子供
なんでそんな事をするの


(えっ)

が、取り囲んでいた子供達からは悲鳴が上がり徐々にその輪が崩れて行くと。

北山
藤ヶ谷、あれを見ろ


その中央には刀を構え辛そうに顔を歪めている、
みやの姿があり「なっ、なんて事を!?」叫ぶ尼。

宮田
あんたらは気づいてないのか自分たちが死んでいることに
何を言っているんです貴方が殺して
いるんでしょ、こんな小さな子達を
宮田
違う全員もののけにやられ、この世の者じゃないんだ、ザクッ
あぁーっ


次から次へ昇天していく尼と子供たち、ザクッ!

子供
やだ、死にたくない
宮田
生まれ変わる為に逝くんだ、ザクッ
子供
こっ、恐い助けて
宮田
ごめん、けど天国に行けるから


ザクッ!

少女
道節のおじちゃん
宮田
‥‥っ


そして最後に少女の「もののけ」が残った時、その動きがピタッと止まる。

宮田
くっ、なんで…だよ
藤ヶ谷
みや
宮田
こいつら全然もののけらしくないじゃん、これじゃ俺のほうが悪者みたいだ


確かに今までの奴らとは違う、それは俺も感じていた。

宮田
うぐっ、ううっ、う


みやは、ジーッと見つめて来る少女の可愛らしい瞳に耐えきれず嗚咽を口から漏らす。

北山
だったら、なりきれ
宮田
北…やん、くっ
北山
そこまでやったなら最後まで
出来るだろ
宮田
けど、この子は


北山の言葉に、その表情が苦痛に歪む。

宮田
俺に、この玉をくれた子なんだ大きくなったら嫁にしてくれっていいながら


そう言い、瞳からは大粒の涙が溢れ出し。

藤ヶ谷
みや


宮田が泣いている滅多に泣かない、みやが眼にいっぱい涙を溜め歯を食い縛り「あいつが泣くだなんで」その姿に俺は声を詰まらせ。

北山
なら向こうの世界へ戻って
何がなんでも捜してやれ


北山が、落ち着いた声で言葉を発した。

北山
今のままでいても、この子は
幸せにはなれないんだ
宮田
うっ、ヒクッ
藤ヶ谷
北山の言う通りだよ、そうしてやりな
宮田
ガヤさん、くっ


キョトンとした顔で見つめている少女に、みやは
意を決したように近づき。

少女
おじちゃん
宮田
約束、覚えている?
少女
うん
宮田
絶対、捜してあげるから待っていてね


ギュッと、その小さな身体を力いっぱい抱きしめ「ザクッ!」その子に見えないよう後ろから頸動脈を斬った。

それは、みやのせめてもの優しさだったのかもしれない。

宮田
うっわあぁーっ


少女の亡骸を抱きしめたまま泣き叫ぶ、みやに俺達は言葉をかけてやる事ができず。

ピカッ!

道節
そろそろいいか?
北山
あぁ、頼む
道節
開け月の道


そこに光りのトンネルが現れ宮田は全てを受け止めたかのように何も言わず中へと引き込まれて行く。
俺達もまた、それを見届けると黙って先へと進んだ残るは俺の相手である成氏と玉梓。

先に戻った彼奴らの為にも絶対なし遂げてみせると、そう心に誓い。




・宮田side

キタミツの叫ぶ声が聞こえた瞬間、ザクッと俺の手は動いていたタマの顔を思い出し。

そして悲鳴を上げながら消えていく子供達「ゴメンごめんな本当に」心の中で謝りながら次から次へと斬っていく。

しかし最後に残ったあの子は、まるで天使のように佇んでいて「おかしいじゃん、なんで?もののけのはずなのに」

道節
子供は大人と違い心が真っ直ぐで
綺麗なのだ
宮田
道節
道節
だから、もののけとなり果てても
その無邪気さは失わない斬る方と
しては1番やりずらいであろう


(ふっ、そういうこと)

道節
玉梓はそれを上手く利用し尼の記憶を塗り替えてここに、あそこと変わらぬ建物を作ったんだろうな


(手の混んだことをするよ、ったく)

全てが済んだとき俺の心には虚しさだけが沸き上がりピカッと、その光りに包まれても何も反応する事が出来なかった正直こんな世界もういたくはないと思ったし。

道節
悪かった辛い思いをさせて


最後に聞いた道節の言葉、そのまま引き戻されて
行き。

玉森
宮田!


タマが俺を呼ぶ声で、ハッと我に返る。

永瀬
宮田くん
宮っち


「あぁ、戻って来てしまったんだな」皆の声を聞きながら。

二階堂
宮田、ミツやガヤは?


(あの2人なら、まだ残っているよ)

千賀
ねっ、どうしたんだよ何が
あったんだ?


(今は何も聞かないで千ちゃん)

大丈夫?


「なんとか…ね」すると放心状態になっている俺にタマが。

玉森
ねぇミツ、戻って来るよね?


(不安げな表情、そうだ北やんじゃん)

宮田
薮お前、何をしようとしているの?
えっ
宮田
俺、見たんだ夢の中でお前がNHKの屋上で泣いているのを
‥‥つ 


そう、喰って掛かったとき。

浜路
来ます!
二階堂
もしかしてガヤ?
浜路
信の玉を持つ者
千賀
やっぱりガヤちゃんだ


口々にメンバーが叫ぶ中、俺は初めてその存在に
気づく。

横尾
里見の二の姫、浜路姫だよ
宮田
横尾さん
横尾
彼女が人柱になって月の道を
作ったんだって
宮田
えっ


ピカッ!

二階堂
ガヤ
宮田
ガヤさん!
藤ヶ谷
なんで?どうしてだぁ~北山あぁーっ


そんな中、ガヤさんが姿を現し。

藤ヶ谷…くん
藤ヶ谷
なぜ俺まで戻した約束が
違うじゃん、くっ
横尾
太輔


その叫びは悔しさに満ち心の中へ切なく響き渡る、俺達は何をしたらいい?独り取り残されたキスマイの最年長キタミツの為に。

皆がみんな同じ想いでそこを見つめていた、月の道にある向こうの世界への入り口を。




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