第145話

時空の狭間②薮side
304
2020/01/30 09:00
「ここは…」気がつくと俺は薄暗い中で独りきり。

(そうか、やっぱり狭間に取り残されちゃったんだ、宏光…あいつは無事に戻れているといいけど、でも俺はそれを確かめることもできない)

くっ


そう思ったら、ドッ寂しさが押し寄せ覚悟していたはずなのに涙が溢れ出る。

(ずっとこんな所で耐えられるだろうか?光、涼介、ちぃ、Hey! Say! JUMPのみんなトッツー、もう会えないんだね)

うっ、嫌だ、そんなの、けど帰れ
ない、どうしようもないんだ


心が押し潰され気が狂いそうだった、そのとき。

諦めるな


微かに聞こえた声「なっ、まさか!?今のは信乃」

信乃
薮殿!


(やっぱり、そうだ)

どこ?どこにいる


ピューン「うわっ、なんだよこれ」ピューッ!

くっ、信乃おぉーっ


ヒュルヒュルヒュル~そこへ突然、吹いて来た風で俺の身体は宙に浮き。

うわあぁーっ


上へと持ち上げられてしまう「助けて宏光」思わず、その名前を呼ぶと。

北山
薮!


「えっ」我が耳を疑うとは、こういうことを言うんだろうか。

北山
今、助けてやる


「本当に宏光が嘘だろ?だってお前」俺は、自分の耳に聞こえて来た声が信じられなかった。

北山
俺は下にいる


すると、真下の視界に宏光の姿が見え。

北山
もう大丈夫だ
どうして戻ったんじゃないのか?
北山
お前を置いて行けるかバーカ、ふっ


(宏光、グスッ)

北山
そっちへ行く待っていろ


「行くって浮いているんだよ俺」けど宏光は…

北山
親兵衛、俺をあそこまで飛ばせるか?
親兵衛
やってみます
北山
頼んだ


ヒューン、ヒュルヒュル~本当に飛んで来やがって

北山
お待たせ
‥‥っ
北山
なんだよ?ふっ
ヒーローみたい
北山
はっ?みたいじゃなく
そうなんだ、クスッ
くっ、宏…光
北山
だから、なんだって
うっわあぁ~っ


ギュッと、その胸にしがみつき泣いてしまう。

北山
ふっ、バカ
だっ…て‥グスッ
北山
分かっている有り難う薮
宏光、宏光うぅ、うっわあぁーっ


(俺、本当は凄く怖かったんだ…でもお前を助けたくて‥だから…だから‥ね…うっ)

そんな俺を優しく見つめる宏光の瞳は温かく。

北山
帰ろう、みんなが待っている
あぁ、ふっ


2人でそう微笑み合ったとき、ビュルヒュル~ピューン!

うわあっ
北山
手を離すんじゃね薮
宏光!


再び吹いて来た突風で俺達は竜巻みたいな渦に巻き込まれてしまい「離すもんか今度こそ」

ヒューヒュルヒュル~

信乃
薮殿!
道節
北山殿!
大角
このままだと2人とも流されてしまう
小文吾
なんとかならないのか
荘介
諦めるな手立てはあるはず
毛野
風には風
源八
駄目だ、それだけはいかん
毛野
しかし
親兵衛
やるよ!
道節
親兵衛、お主
親兵衛
あの人達はいつも自分より
仲間を心配していた
荘介
確かに
源八
バカがつくくらい
親兵衛
だから僕もそれに応える
大角
親兵衛
小文吾
よし我らも力を


そして、そんな決意を8人の守護霊が固めていただなんて知るよしもなく。

ヒュルヒュルヒュル~

ひっ、宏光うぅーっ
北山
薮!


俺らは必死で突風にあらがっていたんだ互いの手を強く握りしめながら。




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