俺は今、独りで旅立とうとしていた。
(当てがあるわけじゃない千賀みたいに何かが見えるわけでもないし、それでも俺は行くって決めたんだ男のケジメをつけるため)
とつぜん聞こえて来た声に思わず反応すると。
(まさか犬川荘介!?そうか、あの人は向こうで息子に会えたんだ)
(マジで?俺あんまり強くないからヤバいよ)
言われた通りにすると、ピカッと光が放ち。
不思議なくらい、勇気と力が湧いた。
(ミツ、これでミツを捜しに行ける!だから待って
いてくれ)
けれど南へ南へと、ひたすら歩き続け陽が暮れると。バサッ、バサッ!
暗闇から鳥が飛び立つ音を聞くだけで身体は強張り動けなくなってしまい。
(やっぱり怖い、どうすればいいんだ?野宿なんて
無理だし、あのときはミツがいつも傍にいてくれ
たから、だから俺は安心して眠れたんだ)
でも今は…
キッキッキィーッ、何処からともなく聞こえてくる不気味な鳴き声。
思わず走り出した、途端にドンッと誰かにぶつかってしまい。
そしたら、目の中に薙刀が飛び込んで来てよ。
(待て、この声どこかで聞いたことがある)
よく見ると、そいつはガタガタと震え地面を這いつくばっていて。
(宮田?)
が、クルリと振り返った姿は以前にミツと見た僧侶の格好をしていてさ。
ギュッと飛びついて来た汗臭いやつ。
(俺も会いたかった)
俺達は互いに泣きながら笑い会えた嬉しさにホッとして涙が止まらなくなる、それから今までのことを話し一緒にミツを捜しに行こうと決めたんだ。
(ミツ、宮田に会えたよ早くミツにも会いたい)
月の光りを浴びて俺達2人が会えたように、きっといつかは…そう信じて。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。