第37話
護るべきもの③永瀬side
風が懐かしい匂いを運んで来た、確かに俺は知っているはずなのに何故だか思い出せなくて。
気になり様子を見に行くと、なんだかゴリラみたいな顔をした男の人と女なんだか男なんだか分からない格好をした人が。
それともう1人、俺の中であのときの記憶が甦る。あれは犬江という侍が死んだとき傍にいた…
なにも、そうするつもりで剣の腕を磨いたわけではないけれど「いつか会うことがあったら試してみたい」そう思っていた。
(あいつ、強そうだったし)
犬江って人に少しは教えて貰っていたから強くなりたくて何でだかは分からないけど、ただ風が言ったんだ強くなれと今に必要なときが来るって。
ふわっ
(えっ、行けって?まだ無理だよ)
ふわっ
(大丈夫?)
ふわっ
(傍にいてくれる?力になるからって分かった、やってみるよ)
俺は勇気を振り絞り3人の傍へと近づいて風が言うに、あのゴリラみたいな人と男女は強くないらしい。
(まずはそこを狙えってことか、よし行くよ)
ざわざわっ、ざわっ、ヒューッ、ふわっと身体が
宙に浮いた。
キーン、カーン!でも俺の刀は見事、この人に弾き返されてしまい。
(あぁ~あ、やっぱりダメだったじゃん)
ふわっ
(えっ?これでいい、わけ分かんない。けど風がそう言うならそうなのかもしれないね)
(なに?この人達)
(ふん、おかしな連中)
その瞬間なぜだか胸がズキンと痛み、その寂しそうな瞳に囚われ。
グイッと、その手が俺の腕を掴む。
ふわっ、風が再びそよぐ。
なんだかよく分からないけど風がそう言うから同行すると決めた、でも…
このゴリラみたいな人が、おかしな呼び方をするのだけは止めてくれそうにもない。
(しかし何故だか一緒にいるとホッとする、なんでだろう?その理由が分かれば自分がここにいる意味も分かるのかもしれないな)
俺はどうしてこの世界に来たのかを知りたくて、
ずっとそれを求めて来たんだ。
見知らぬ土地で、ただ独り。
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