第11話
思わぬ再会④宮田side
(俺だってこんな事したくはないけれど、じゃどう
やって稼げっていうの?)
ここに来て、もう1年が過ぎる。
初めは、全く意味が分からなかった。
とつぜん目の前に尼僧たちが現れ「道節さま」俺のことをそう呼んで。
(はあっ?誰それ俺そんな名前じゃない、なんて言ったっけかな…そう王子)
(違うわ!)
(デートだったから、ん?誰とだっけ)
俺は、弁慶みたいな格好をさせられてしまい。
(なんのこと?さっぱり分からないんだけど)
(火?そんなの出せるわけないじゃん)
すると、いつの間に置いたのか目の前に大きな釜があり。
(えっ?)
それを見つめていたら何処からか声が聞こえ、しかし辺りを見渡してもらしき人物はいなく。
(なんだって俺が、そんな事をしなきゃならないんだよ)
(練…習?)
(生きて行く…ため?)
(冗談じゃない誰が分かった、やりゃあいいんだろ?やりゃあ)
俺は、言われた通り釜に向け手をかざすと集中し。
力を振り絞るかのように叫んだ、すると途端にボッと薪に火がともり。
(マジでついてしまった、これ火炎の術って言うのか)
(けど、なんだって俺こんなことが出来るんだろう?てか、その為に火を着けさせたってわけ?これじゃ釜焚き弁慶じゃん、いやもとい道節だった…あは、しかし誰なんだろう?)
どうやら俺はそいつに間違われているらしい、どうしてそうなってしまったのかは分からないけど。
と、そのとき。
次から次へ眼を輝かせながら集まって来る子供たち
(これ…は‥)
けど、子供たちが喜んでいる姿を見ていると自然と心が和む。
そう、ここは戦で親を失った子達がいる言わば現代でいう孤児院みたいな所だったんだ。
驚いた!?殆どが百姓とかの子供たちばかりだったから侍なら分かる、なのにさ。
(いつの世も戦争で犠牲になるのは弱い者ってことか)
それからはここで道節としてこの子たちのために銭を稼いでいる、あの子らの笑顔を護るためなら俺は詐欺まがいの事だっていとわない。
この世界は、そうでもしなければ生きてはいけない世の中から。
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