第140話

最終決戦⑯北山side
278
2020/01/27 03:05
赤い扉の中、そこには想像以上の敵が待ち構えて
いた。

ザザザザッ、キーン、カーン、キーン、ザザザッ、
ザクッ!

俺は、ひたすら斬りまくり「ザクッ」「カーン」「ザバッ」「キーン」

(くっ、これじゃキリがない)

カーン、キーン、カーン!

(斬っても斬っても、こいつら湧いてくるみたいに
襲って来てよ)

キーン、カーン!

が、独りで次から次へと振り掛かる刃の全てを防ぎきれるわけもなく。

ザクッ!

北山
くっ
藤ヶ谷
北山!


「藤ヶ谷、はぁはぁ、はぁ」最初に受けた一撃は、左肩だった。そして、それからは。

キーン、ザクッ!

北山
うあっ…つ
玉森
ミツ!


(大丈夫だタマ、これくらい大したことねぇ)

ザバッ!

北山
くっう…ハァハァハァ
宮田
北やん、しっかり
二階堂
負けるんじゃね


「宮田、ニカ心配するな」カーン、ザクッ!

北山
うぐぐっ…ガクッ
永瀬
踏ん張って北山くん
千賀
立てよミツ


「千賀、廉、くっ…は」俺の身体には無数の刀傷が増え必然的に体力は弱まっていき。

カーン、ザクッ!

北山
うぐっ
横尾
倒れたら許さないからね
北山
横尾…さっ‥クッ
みんな見ている、お前は
独りじゃない!
北山
や…ぶ‥ふっ


けど、そんな俺の耳に聞こえて来る彼奴らの声が。

俺達は信じている
藤ヶ谷
お前が勝って戻って来ることを
玉森
みんな待っているから
永瀬
北山くん
横尾
ミツ
千賀
負けるんじゃない
宮田
北やん
二階堂
ミツうぅーっ


絶対に負けられないという強い意志となり、それが力となって炸裂する。

北山
くっ、このやろう


「キーン」「ザクッ」「カーン」「ザバッ」
「キーン」「ザクッ」

藤ヶ谷
そうだ、その意気だ
二階堂
やっちまえ
千賀
行けぇーっ


そして、気力を振り絞り敵へと立ち向かった。

北山
俺は…ハァハァ‥生きて…くっ‥あいつらの…ところへ‥帰るんだぁーっ


キーン、ザバッ、カーン、ザクッ、キーンカーン!斬り続ける俺の横で将棋倒しの如く倒れていくもののけ達、そのとき。

玉梓
やめ~い


どこからともなく奴の声が聞こえ、とたん攻撃が
止まって。

北山
くっ、ハァハァハァ
玉梓
大した男よ
北山
玉…梓‥クッ
玉梓
普通なら、とうに屈しておるのに
北山
あいにくと俺は普通ってのが
大っ嫌いだからよ
玉梓
どうじゃ降参せぬか?
北山
はあっ?てめぇ何を言っている、ハァハァ
玉梓
どう見ても、そち独りでは妾のところまで辿り着けまい
北山
ふ…ざけんじゃね誰が、チッ
玉梓
そうか残念なことよ
北山
俺は、お前を絶対に倒してみせる!
玉梓
しかし、それは無理というもの
北山
なに!
玉梓
今のそちの身体は傷だらけじゃ、せっかく網乾から受けた傷を治したとゆうに結局は闇に堕ちるが運命
北山
くっ、てめぇ見てないで出て来やがれ
玉梓
そうは行かぬ妾を斬りたければ
そちの方から来るがよい生きて
は来れまいが


(こいつ、クッ)

北山
分かったぞ
玉梓
何をじゃ?
北山
おまえ独りじゃなにも出来ねんだな
玉梓
‥‥っ
北山
ずっと考えていた、どうして回り
くどいことばかりするのかって、
ようは手駒を操ることしか出来ない
弱い奴ってことだ
玉梓
くっ、こしゃくな!
北山
図星だな、ふっ
玉梓
だからどうしたと言うのじゃ、そちが妾の所に来るときには屍となっておることに変わりはない、もののけになるのも時間の問題じゃ
北山
それはどうだろ
玉梓
なに
北山
俺は絶対お前なんかに屈したりはしない、たとえ魂が粉々になっても
玉梓
くっ、ならば望む通りにしてやる!
もののけども、やっておしまい


キーン、カーン!

(俺は、この世界に来て命の大切さ人の想い互いに
信じ合う心、たくさんの愛情を身を持って感じる
ことができた)

だからこそ確信し出た言葉「魂が粉々になっても」お前らの想いに応えてみせる、それが今の俺の気持ちだから。

村雨丸を握る自分の手に、あいつらの温もりを感じながら激戦は続く。

キーン、カーン!




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