赤い扉の中、そこには想像以上の敵が待ち構えて
いた。
ザザザザッ、キーン、カーン、キーン、ザザザッ、
ザクッ!
俺は、ひたすら斬りまくり「ザクッ」「カーン」「ザバッ」「キーン」
(くっ、これじゃキリがない)
カーン、キーン、カーン!
(斬っても斬っても、こいつら湧いてくるみたいに
襲って来てよ)
キーン、カーン!
が、独りで次から次へと振り掛かる刃の全てを防ぎきれるわけもなく。
ザクッ!
「藤ヶ谷、はぁはぁ、はぁ」最初に受けた一撃は、左肩だった。そして、それからは。
キーン、ザクッ!
(大丈夫だタマ、これくらい大したことねぇ)
ザバッ!
「宮田、ニカ心配するな」カーン、ザクッ!
「千賀、廉、くっ…は」俺の身体には無数の刀傷が増え必然的に体力は弱まっていき。
カーン、ザクッ!
けど、そんな俺の耳に聞こえて来る彼奴らの声が。
絶対に負けられないという強い意志となり、それが力となって炸裂する。
「キーン」「ザクッ」「カーン」「ザバッ」
「キーン」「ザクッ」
そして、気力を振り絞り敵へと立ち向かった。
キーン、ザバッ、カーン、ザクッ、キーンカーン!斬り続ける俺の横で将棋倒しの如く倒れていくもののけ達、そのとき。
どこからともなく奴の声が聞こえ、とたん攻撃が
止まって。
(こいつ、クッ)
キーン、カーン!
(俺は、この世界に来て命の大切さ人の想い互いに
信じ合う心、たくさんの愛情を身を持って感じる
ことができた)
だからこそ確信し出た言葉「魂が粉々になっても」お前らの想いに応えてみせる、それが今の俺の気持ちだから。
村雨丸を握る自分の手に、あいつらの温もりを感じながら激戦は続く。
キーン、カーン!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!