第89話

闇との戦い⑫千賀side
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2019/11/19 09:58
キーン、カーン!「くっ、これじゃキリがない」

法師
どうした?もう限界か
二階堂
ちっ
千賀
そんなんじゃねぇ


俺とニカは交互に攻撃をして一人前、けどゝ大法師は2人を相手にしながら平然としている。

二階堂
はぁはぁ…はぁ


体力もそろそろ限界だし、キーン、カーン「くっ、なんとかしないと」キーン、カーン!

そう思っていた、そのとき。

藤ヶ谷
北山!
玉森
ミツ!


重なるようにして聞こえてきた声に思わず振り返ったら。

千賀
なっ、どうしたっていうんだ
二階堂
えっ、ミツ!?


いつの間に気がついたのか、ミツがフラつきながら立っていて手にしている刀を廉とタマの方へ向けている。

藤ヶ谷
落ち着け、そんな身体で動くんじゃ
ない
北山
くっあ、藤ヶ谷、離せ俺にひっつくな
永瀬
北山くん!
玉森
今は近づいちゃダメだ廉、ミツは普通じゃない
藤ヶ谷
何をしているタマ早く永瀬をあっちへ連れて行け
北山
やっ…めろ、俺の身体を‥勝手に
動かすんじゃね
永瀬
北山くん、しっかりして下さい
北山くうぅ~ん
北山
廉、早く…俺から離れろ
永瀬
嫌です俺は北山くんを助けるって決めたんです
玉森
廉!


(これ…は‥)

暴れるミツを必死で抑え込んでいるガヤに対し近づこうとする廉、それを無我夢中で止めようと引っ張っているタマ。

でもミツは自分の行動とは正反対のことを言っているし「いったい何がどうなっているわけ?」

法師
北山殿は闇に引き込まれ染まりきってから闇の戦士として覚醒するはずだった、しかしそうはならずに戻って来た為あのようになってしまったのであろう大した強い意志の持ち主だな
二階堂
ミツに何が起こっている答えろ!
法師
身体は闇に支配されているが心はそうではない勝手に動く身体を己で制御することもできず、もがき苦しんでいるというわけだ
二階堂
なっ
千賀
それで、どうなる?
法師
分からん普通は死して闇と化すもの
拙者のように生きて覚醒するやから
がどうなるかなど、ふっ


(そん…な)

法師
お主たち行かなくてもよいのか?
千賀
えっ
法師
あの者たちだけでは今の北山殿を抑え込むことは出来まい、もし仲間の誰かを傷つけでもしたら今度こそ闇に堕ちるやもしれぬ
二階堂
お前なにを企んでいる
法師
拙者は少し休息が欲しいだけだ、それにあの北山殿をお主らがどうするのか見てみたい気もするし
二階堂
なに!
千賀
やめるんだニカ
二階堂
でも
千賀
今はミツの方が先だ
法師
さすがは千賀殿、賢明な判断恐れ入る
千賀
決着は後で必ず
法師
待っているといたそ


俺は憤るニカの腕を引きタマたちのところへ急ぐ、けど頭の中ではゝ大法師の不可思議な言動が気になっていたんだ。

それは「なぜ敵であるはずの自分たちにそんな事を教えたりするのか?」ということ、それにミツたちのところへ行くようわさど仕向けた気もするし。

「きっと何か意図がある」あの人の中にそうしなければならなかった理由が、しかしそれを知ったのは法師がこの世から消え去るときだった。

そう、人を愛する気持ちは闇の力に負けたりなんてしない。その偉大な存在を無くすと同時に俺達は、それを教わった気がする。




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