第54話

力の源"絆"①北山side
389
2019/10/09 13:44
俺と藤ヶ谷は記憶がない横尾さんに、これ以上の
話は聞かせられないと2人して外へと出た、そして。

藤ヶ谷
俺の知っている事は、これで全部だ


大体のことは、あのとき伏姫と藤ヶ谷の会話から
分かってはいたが。

藤ヶ谷
大丈夫?


改めて聞くと、さすがに身体が奮えてくる。

藤ヶ谷
北山
北山
あ、うん
藤ヶ谷
無理しなくていいから
北山
してねぇわ


そう言い返しつつもガタつく自分の身体を抑える事ができず「情けね、はっ」ヤバいと思った時には、もう遅かった。

北山
うぐっ
藤ヶ谷
おい!
北山
でぇ…じょぶ‥
藤ヶ谷
なわけないだろ
北山
慣れてる…から
藤ヶ谷
そういう問題じゃない意地を張るな
北山
くっ、ハァハァハァ


(ふ…じ‥がや…んな‥デカい…声‥出さないで…くれる)

北山
ううっ、くっ


(お前の…声‥けっ…こう‥身体に…響くん‥だから…よ‥ふっ)

ガシッとそのときイキなり、こいつは俺を腕の中へと包み込み。

藤ヶ谷
護るから
北山
‥‥っ
藤ヶ谷
俺が絶対、逝かせはしない


ギュッと抱きしめられた腕の中は温かく思わず涙が出そうになる、その胸元に顔を埋め苦しみをグッと堪えた。

藤ヶ谷
北山、俺は伏姫によって呼ばれた
北山
万が一、俺が…負に囚われた‥ときの…為に‥だろ
藤ヶ谷
お前が最初に狙われることは姫も分かっていたんだ
北山
光り…だ‥から
藤ヶ谷
それもある、だがそれが闇になった
とき玉梓以上の脅威となる
北山
ふっ
藤ヶ谷
俺は必死で捜したよ、けど間に
合わなくてゴメン
北山
藤…ヶ谷…はぁはぁ
藤ヶ谷
今度は絶対に護ってみせる、だから
負けるんじゃない
北山
あぁ…俺を‥信じろ


(ぜったい闇なんかに囚われたりしないから、そんな事になったら彼奴らが戻れなくなってしまう)

藤ヶ谷
網乾は、お前を殺すんじゃなく傷つけるチャンスを狙っていたんだ
北山
じゃ…最初の‥ときも
藤ヶ谷
たぶん番作とかいう侍が来なければ
間違いなくやられていただろう
北山
ニカに…斬り‥掛かっ…たのも
藤ヶ谷
北山が庇うのを見通してのことさ
北山
ふっ…まんまと‥ハメられて…しまっ‥たってわけ


(この苦しみを味あわせる為、生き地獄を)

北山
だが…なん‥で…わざわざ…んな手の
込んだ‥事を…ハァハァハァ
藤ヶ谷
一気にやってしまうのは簡単だ、それで闇に引きずり込めばお前は、だけどそうしなかったのはじっくり煮込みたからだろう
北山
煮込むだって、ふざけやがって!
うぐっ
藤ヶ谷
北山!
北山
心配…すんな‥
藤ヶ谷
少し休め
北山
そんな時間…ねぇ‥んだよ…俺には
分かる
藤ヶ谷
……っ
北山
先を…聞かせてくれ


(時間を掛けて引きずり込めば負の力が増幅し絶大な力となる?俺はお前らの核兵器じゃねっつうの)

藤ヶ谷
あの林で北山を見つけたとき、その
苦しみ方・傷を見て俺は愕然とした
知っていながら防いでやる事もでき
なかった自分が情けなくてさ
北山
お前の…せいじゃ‥ね
藤ヶ谷
取り合えず隠そうと
北山
見つかっ…たら‥村人に…殺され
‥っから?
藤ヶ谷
気づいていたんだ
北山
お前が…俺を‥連れ出そうと…した時
‥んだから…あんな‥こと…してまで
‥閉じ込めて…おきたかっ‥たんだろ
藤ヶ谷
ふっ


今だから痛いほど分かる藤ヶ谷の気持ち例えどう
誤解されようとも嫌われ憎まれたとしても、お前
はそれでもいいからと必死で俺を護ろうとした。

(ありがとな、その気持ち絶対に無駄にはしない)

こいつとシンメで良かったと、しみじみと思う。




プリ小説オーディオドラマ