俺と藤ヶ谷は記憶がない横尾さんに、これ以上の
話は聞かせられないと2人して外へと出た、そして。
大体のことは、あのとき伏姫と藤ヶ谷の会話から
分かってはいたが。
改めて聞くと、さすがに身体が奮えてくる。
そう言い返しつつもガタつく自分の身体を抑える事ができず「情けね、はっ」ヤバいと思った時には、もう遅かった。
(ふ…じ‥がや…んな‥デカい…声‥出さないで…くれる)
(お前の…声‥けっ…こう‥身体に…響くん‥だから…よ‥ふっ)
ガシッとそのときイキなり、こいつは俺を腕の中へと包み込み。
ギュッと抱きしめられた腕の中は温かく思わず涙が出そうになる、その胸元に顔を埋め苦しみをグッと堪えた。
(ぜったい闇なんかに囚われたりしないから、そんな事になったら彼奴らが戻れなくなってしまう)
(この苦しみを味あわせる為、生き地獄を)
(時間を掛けて引きずり込めば負の力が増幅し絶大な力となる?俺はお前らの核兵器じゃねっつうの)
今だから痛いほど分かる藤ヶ谷の気持ち例えどう
誤解されようとも嫌われ憎まれたとしても、お前
はそれでもいいからと必死で俺を護ろうとした。
(ありがとな、その気持ち絶対に無駄にはしない)
こいつとシンメで良かったと、しみじみと思う。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。