第132話

最終決戦⑧宮田side→横尾side
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2020/01/19 03:53
(ねぇ~ガヤさんキタミツと2人して俺らには内緒で何を企んでいるわけ?)

宮田
2人っきりになっちゃったね
藤ヶ谷
あいつらは戻れたんだ、それで
よしとしよう
宮田
俺も
藤ヶ谷
んっ?
宮田
千ちゃん達と同じに帰されちゃうの?
藤ヶ谷
さぁ、ふっ


(誤魔化さないで俺やっと分かったんだ、あのとき
キタミツと2人で合流したがらなかったのは何で
なのか秘密にしていることがあったからだろ?)

藤ヶ谷
みや


(ガヤさんもキタミツも自分たち以外は全員先に帰すつもりでいる違う?けど俺はそうは行かないよニカみたいにこっちに惚れた女もいなければ千ちゃんみたいに家族もいない、そうだよね道節?

ふ~ん答えないわけ、お前は俺の守護霊なのにどうして北やんの言うことを聞くんだよ)

藤ヶ谷
みや、お前さっきから呼んでいるのに聞こえないの
宮田
あ、ゴメンなに?ガヤさん
藤ヶ谷
玉、光ってる
宮田
えっ


言われて見ると、確かに光を放っている「ここまで来て何だっていうんだろ?」

宮田
どうした?佐久間、塚ちゃん
渡辺
俺です宮田くん
宮田
翔太!?
渡辺
ちょっと気になっている事があって
宮田
なに?
渡辺
今、大丈夫ですか
宮田
あ、あぁ
渡辺
実は


(千ちゃんから携帯に着信があった)

渡辺
どうしてでしょう?
宮田
ふ~ん無事にそっちへ戻ったんだ
佐久間
えっ、どういうこと?宮田くん
宮田
だから、そういうこと気になるんなら今度かかって来たとき直接本人に聞いてみれば
戸塚
宮田お前なに苛ついているんだよ
珍しいじゃん
塚田
何かあった?
宮田
別に


そう言うと、チラッと横目でガヤさんを見る。

宮田
あっ、ついでに北やんにも教えてやって安心すると思う、ねぇガヤさん
藤ヶ谷
そう絡むなって、みや


俺の態度に、苦笑いするガヤさん。

(当たり前じゃん俺達をのけものにして横尾さんだってきっとそう思っているに違いない)

塚田
藤ヶ谷、宮っちなにスネてるわけ?
藤ヶ谷
さぁ、ふっ


(またそれ…)

戸塚
こんなときに仲間割れなんかするなよ
藤ヶ谷
大丈夫さ


(何が?その言葉の意味が分からない)

けど俺は後で知る、ガヤさんもキタミツも辛かったんだって事を。

(ごめん…)

ガヤさんまでもが引き戻されて来たとき、その慟哭に俺は言葉を掛けてあげる事すら出来なかった。

(北やん、皆が北やんの無事を願っているよ分かるでしょ?メンバーを仲間を騙した罪は重い、ちゃんと戻って償って!じゃなきゃ許さないから)

その笑顔を思い出しながら信じて待ち続ける、月の道で。




・横尾side

「いったい何を考えているの?ミツ」その視線は、恐いくらいに鋭い。

北山
横尾さん
横尾
なに?
北山
気づいているか
横尾
えっ
北山
一角とか言ったっけ?こっちでの父親
横尾
あ、うん
北山
確か化け猫にやられたんだよな
横尾
それが、あっ


その言葉に、初めて俺は気づく。

北山
やっと分かった?
横尾
父上が、もののけとして俺の前に
北山
もう、お出ましのようだけどよ
横尾
‥‥っ


「ミツの視線が鋭かったのはそれが原因?」暗闇の奥、そこに2つの眼が光っている。

北山
来る!


俺達が構えた次の瞬間ザザッと黒い影が飛び出し。

一角
待っていたぞ
横尾
父上!?


俺は、とつぜん現れたその姿に驚愕した。

一角
犬に息子などはおらん
横尾
そん…な


優しかった瞳は、金色に怪しく光っていて。

宮舘
横尾くん
塚田
躊躇するな、やられてしまう
横尾
塚ちゃん
戸塚
危ない!
横尾
トッ…ッ、うわっ


キーン、カーン!耳に響くその声に咄嗟に刀を抜き応戦する。

阿部
大丈夫ですか!
横尾
くっ、ハァハァハァ
宮近
また来ます!
平野
上です横尾くん


キーン、カーン!

そして、なんとか反射的に攻撃を交わすも俺はあまり運動神経がよくない、そのうえ父上の威力は半端なく。

七五三掛
頑張って下さい横尾くん
高橋
ファイト!


が、ふだんローラーを履いて踊っていたことが幸をそうしているみたいで。キーン、カーン!

佐久間
右だ
渡辺
如恵留
後ろです!


しかし「これじゃ体力が持たない」そう思いミツの顔を見れば裕太のときと同じジッと見つめていて。

(独りでやれってか、くっ)

戸塚
よそ見しているんじゃない横尾
横尾
ハッ


キーン、カーン!

神宮寺
負けないで横尾くん
宮舘
勝って戻って来て下さい
横尾
えっ
渡辺
連絡があったんです千賀くんから
横尾
なっ!?


キーン、カーン!

廉や玉森くんも戻って来ています
高橋
千賀くんや二階堂くんも
横尾
いっ、今なんて
佐久間
月の道に


(キーン、カーン!それって、どこ?)

佐久間
もののけになった、ぬいさんや怜香さんをやっつけ


「ミツ?」俺が再びその顔を見ると、そうだと言わんばかりに頷いた。

戸塚
だから、お前も戻って来い


(そういう事だったんだ、キーン、カーン!だから、手を出さないって)

俺はゝ大法師と廉の戦いを思い出す、そしてやっとミツと太輔の意図を理解したんだ。

(つまり自分で繋いでしまった縁は自分で断ち切れ、そういうこと?)

「そうだよワタ」太輔の声が、聞こえたような気がする。キーン、カーン!

俺は意を決し再び刀を構えた、ならこの試練を絶対に乗り越えてみせると「見ていて、ミツ」気持ちも新たに父上と向き合い。

宮田
横尾さん!
藤ヶ谷
ダメだ、みや!もう分かっているだろ


と、そのとき上から俊くんと太輔の声がして。

宮田
けど、ほっとけない
藤ヶ谷
それでも行かせはしないよ
宮田
ガヤさん!


見上げると、一段高くなっているベランダみたいな所に2人の姿が見え「だいじょうぶ俊くん、これは俺の戦い最後まで諦めずに頑張るよ」

俺は、息を整え斬り込むチャンスを伺う。

大角
聞こえるか


(この声は大角)

大角
今からお主を補佐する眼をつぶれ


(えっ)

大角
いいから早く俺を信じ


(分かった)

言われた通りに俺がすると、ふわっと身体が何かに包まれたような気がし。

大角
そのまま刀を構え、よし斬れ


ザクッと、とたん鈍い音と共に嫌な感触が手のひらいっぱいに広がって眼を開けたら父上を抱きしめている男の人が見え。

(あれ…は)

大角
有り難う横尾殿
横尾
大角?
大角
道は開いた帰ったら仲間に宜しくな


すると目の前に光りが射し込み瞬く間にトンネルが現れ身体がその中へと包まれていく「月の道で会おう」トッツーが最後に言った言葉、自分たちも今からそこへ行くからと。

俺はもう1度、ミツの顔を見つめた。

北山
…‥るな、ふっ


(えっ、なに?なんて言ったのミツうぅーっ)

そして意識を取り戻したとき、そこには薮の笑顔があったんだ。

お帰りなさい横尾さん


俺の頬に一滴の涙が、したたり落ちる。




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