第2話

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1,207
2018/11/19 12:00
廊下を歩くと各教室から楽しそうな笑い声が聞こえてくる、そして窓からは生温い風が吹く
このたまらない感じが学祭期間の醍醐味だと思ってる

自販にお金を入れサイダーのボタンを押す
ころん
ころん
あっ、
(あなた)
(あなた)
えっ?
振り返ると整った顔をした男性が口を開けてボタンを押す私の指を見つめていた
(あなた)
(あなた)
買っちゃまずかったですかね…?
胸元の校章には3と書かれてる為先輩だ
慎重に…慎重に…
ころん
ころん
違うんだ!僕もサイダー買おうと思ってたから、売り切れちゃったーって思って
そう言って困った笑顔を見せる
その視線の先を見ると売り切れの赤いランプ
(あなた)
(あなた)
わああ!ごめんなさい!これどうぞ私、他の飲み物でも大丈夫なので
ころん
ころん
いやいや大丈夫だよ!君優しいね…
自分でも顔が赤くなるのがわかる…こんなかっこいい人に褒められるなんて
るぅと
るぅと
ころちゃーんブロ長の集まり始まっちゃうよ!
ころん
ころん
わりー!今行く!
じゃあ俺行くね!
眩しい笑顔を向けて去っていった先輩
まだ心臓がどくどくと音を立てている


__________
教室に帰る道もずっとさっきの笑顔がぐるぐると頭に残っている
のあ
のあ
あなたお帰り〜って、野菜ジュースは?
えっ、なんでそんな顔赤いの?!
(あなた)
(あなた)
ああ、うん…って野菜ジュース忘れちゃった!買ってくるね、ごめん!
のあ
のあ
もういいよ大丈夫!それよりどうしたのそんな上の空で
(あなた)
(あなた)
かっこいい先輩を見つけまして〜…
なになに?と目を光らせる のあ に先程の出来事を話す
のあ
のあ
ころん先輩って!あのころん先輩?
(あなた)
(あなた)
のあ、知ってるの?
のあ
のあ
ころん先輩ってめちゃくちゃかっこいいって人気な先輩じゃん!サッカー部エースでうちの学年にもファン沢山いるの!
(あなた)
(あなた)
初めて知った
たしかにすごいかっこよくて、優しそうな人だった
のあ
のあ
ころん先輩を知らないだなんて…あなた本当に男に興味ないのね〜
(あなた)
(あなた)
興味ないわけじゃあ…ないよ
ただ諦めてただけ
のあ
のあ
でもさすがころん先輩!男に興味ないあなたを一瞬で落とすなんて!
そう言って嬉しそうに微笑むのあ
(あなた)
(あなた)
まだ好きってわけじゃないからね!しかも凄い人気みたいだし…私なんか近づけないよ
のあ
のあ
なーに言ってんの!あなただって学年1の美少女って言われてるくらいなんだから自信持ちなさいよ!
自分に自信がない私は のあ の言ってる事を信じる訳でもなく只々落胆する


____________________
次の日
また会えるわけないよね?なんて思いながら自販に向かって歩く
自販にお金を入れようとする
ころん
ころん
あ!昨日のサイダーちゃん!
後ろにはころん先輩がいた
(あなた)
(あなた)
サイダーちゃんって…私ですか?
ころん
ころん
そうだよ!
そう言ってお金を入れようとする私の腕止める
ころん
ころん
ここは先輩の僕に奢らせてくれたまえ!
悪戯な笑みを浮かべて自販にお金を入れるころん先輩

掴まれた手が熱い
(あなた)
(あなた)
ころん先輩…ありがとうございます!
ころん
ころん
おう!
爽やかな笑顔でサイダーのボトルを差し出してくる
心臓が飛び出そうだ
ころん
ころん
そう言えば君の名前は何で言うの?
(あなた)
(あなた)
あなたって言います
ころん
ころん
あなた…ああ!君が噂の
(あなた)
(あなた)
ころん
ころん
いや!ただサッカー部の2年が良くあなたちゃんの話してるんだよ!可愛い子がいるって
恥ずかしくなって俯いてしまう
ころん
ころん
照れてるの?
冷やかすような意地悪な笑みを向けてくるから余計に下を向いてしまう…
(あなた)
(あなた)
うー、やめてくださいよころん先輩
ころん
ころん
ごめんごめん意地悪しちゃったね
そう言って私の頭をクシャって撫でる先輩
やっと引いてきた熱がまた顔に集まる
ころん
ころん
それにしてもあなたちゃんはいつもサイダー飲んでるよね!
(あなた)
(あなた)
いつもって訳じゃなくて…学祭期間だけです!何故か学祭期間になると飲みたくなるんですよね、サイダー
ころん
ころん
すっごいわかる!僕も学祭期間しかサイダー買わないもん!
(あなた)
(あなた)
本当ですか!
意外な共通点に頬が緩む
ころん
ころん
後、あなたちゃんって何組?
(あなた)
(あなた)
4組です
ころん
ころん
本当に?僕のブロックのクラスじゃん!
(あなた)
(あなた)
ころん先輩がブロ長なんて頼もしいです!頑張りましょうね!
ころん
ころん
お、おう
ころん先輩の顔が赤いような気がした
のあ
のあ
あなたどこ行ったの?買い出し行くよ〜って…えっ?ころん先輩…
(あなた)
(あなた)
あ、ころん先輩、私買い出し行ってきますね!じゃあまた
ころん
ころん
うん、また話そうね
ぎこちなく手をを振り合う私たち

そんな私たちをニヤニヤ見る のあ




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のあ
のあ
なに!どう言う展開よ!あなた!説明しなさい〜
満面の笑みで抱きついてくる のあ
(あなた)
(あなた)
ジュース奢ってくれて、ちょっとだけ話した…だけ?
のあ
のあ
あなたが男子と喋る日が来るなんて
(あなた)
(あなた)
私もびっくりした…ころん先輩と話してる時ドキドキするけど安心するし、もっと話したいってなる
のあ
のあ
それってねえ?
ニヤニヤしながら近づいて来る のあ
のあ
のあ
幸せなヤツめ!まあ…見た感じ先輩も満更でも無さそうでしたけど
(あなた)
(あなた)
どう言う事よ
のあ
のあ
それは教えなーい!よし買い出し行っくぞー!
(あなた)
(あなた)
ちょっとー待ってよのあ!
そうして私たち快晴のグラウンドを歩き出した


____________________
るぅと
るぅと
ころちゃーん、どうしたの窓の外なんて見ちゃって
ころちゃんの目線を追うと色白の女の子が手を引かれて校外に向かって走っていた
ころん
ころん
なんでもない
絶対この なんでもない は なんでもなくない! ころちゃんって本当にわかりやすいんだから
るぅと
るぅと
ころちゃん、そう言えばさっき珍しく女の子と話してたよね〜
ころちゃんはモテるけど、自分から女の子に話しかけたりするタイプじゃない
だからモテるんだと思う
ころん
ころん
いや、別になんでもねーし
明らかに目が泳いでますけどー!
そうかそうかついにころちゃんもねー?
るぅと
るぅと
あっそ、まーいいや!これ手伝って〜
これは面白いことになりそうだ…ふっふっふー

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