廊下を歩くと各教室から楽しそうな笑い声が聞こえてくる、そして窓からは生温い風が吹く
このたまらない感じが学祭期間の醍醐味だと思ってる
自販にお金を入れサイダーのボタンを押す
振り返ると整った顔をした男性が口を開けてボタンを押す私の指を見つめていた
胸元の校章には3と書かれてる為先輩だ
慎重に…慎重に…
そう言って困った笑顔を見せる
その視線の先を見ると売り切れの赤いランプ
自分でも顔が赤くなるのがわかる…こんなかっこいい人に褒められるなんて
眩しい笑顔を向けて去っていった先輩
まだ心臓がどくどくと音を立てている
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教室に帰る道もずっとさっきの笑顔がぐるぐると頭に残っている
なになに?と目を光らせる のあ に先程の出来事を話す
たしかにすごいかっこよくて、優しそうな人だった
ただ諦めてただけ
そう言って嬉しそうに微笑むのあ
自分に自信がない私は のあ の言ってる事を信じる訳でもなく只々落胆する
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次の日
また会えるわけないよね?なんて思いながら自販に向かって歩く
自販にお金を入れようとする
後ろにはころん先輩がいた
そう言ってお金を入れようとする私の腕止める
悪戯な笑みを浮かべて自販にお金を入れるころん先輩
掴まれた手が熱い
爽やかな笑顔でサイダーのボトルを差し出してくる
心臓が飛び出そうだ
恥ずかしくなって俯いてしまう
冷やかすような意地悪な笑みを向けてくるから余計に下を向いてしまう…
そう言って私の頭をクシャって撫でる先輩
やっと引いてきた熱がまた顔に集まる
意外な共通点に頬が緩む
ころん先輩の顔が赤いような気がした
ぎこちなく手をを振り合う私たち
そんな私たちをニヤニヤ見る のあ
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満面の笑みで抱きついてくる のあ
ニヤニヤしながら近づいて来る のあ
そうして私たち快晴のグラウンドを歩き出した
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ころちゃんの目線を追うと色白の女の子が手を引かれて校外に向かって走っていた
絶対この なんでもない は なんでもなくない! ころちゃんって本当にわかりやすいんだから
ころちゃんはモテるけど、自分から女の子に話しかけたりするタイプじゃない
だからモテるんだと思う
明らかに目が泳いでますけどー!
そうかそうかついにころちゃんもねー?
これは面白いことになりそうだ…ふっふっふー
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。