ボクは生涯かくれんぼをしている
いじめっ子が鬼で、身を隠すのが僕
もちろん比喩の話。
だけど、日が暮れるまで息を潜めて本当にかくれんぼをしているみたい
「真冬のやつ、もういないんじゃね?」
「えー、逃げた?」
「何それウケるw」
「真冬くん…逃げちゃうなんて酷い…っ」
「あ!結月泣かせたー」
「真冬ひでーやつだな!」
酷いのはどっちだ、と心の底から憎悪が滲む
「もう帰ろうぜ、暗くなる」
「そうだねー…バイバイ。」
その声と同時に、公園から人気が無くなった
口から出るのはため息ばかりで「助けて」の一言も出やしない
口は存在意義をなくしてしまったようだ
黄昏の空はいつの間にか消えて小さな星が宝石のように散っていた
この星で最も要らない星があるなら…きっと僕はそれだ。
輝いているから触ってもらえる。
嫌われて叩かれる。
でも、それは別に悪くない。
………だって
嫌われ未満の方が何倍も怖いから
触ってもらえなければ存在しているかすらも分からなくなるから
また明日も鬼が手を叩く方へ上手にかくれんぼしていこう
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。