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私が帰ろうとしたその時振り替えると、大和が来ていた。淋しそうな背中が目に映る。
ごめんね。大和。もう会えない。私の頬に暖かいはずなのに冷たく感じる涙がつたった。
(家)
家に帰っても、やっぱりあの後大和がどうしたかは気になる。その気持ちをまぎらかそうとした。それでも。どうしても。
ううん行けない。もう約束したのだから。
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2月16日(土曜日)
その日から1週間が経った。
1週間経っても大和の淋しそうな背中はわすれられなかった。
今日は学校がないから文房具でも買いに行こうと思ってお買い物にいった。
(文房具売り場)
文房具売り場でどの色のペンを買うか悩んでいたら。
(ガサッ)
「あっ。すみません!」
顔を上げたその時。私は神様はなんでこう嫌がらせが好きなのだろう。と、心から思った瞬間だった。
「あ。」
と、お互いに声が出た。
「どうも。」
と言われたから、会釈をした。
「ちょっと時間ある?」
と言われた。「ある」としか言えなかった。
2人でカフェに入った。私はオレンジジュースを彼女はミルクコーヒーを頼んだ。そういえば、大和はコーヒー飲めないんだった。
いつもこんなふうにしてる。何かある度に大和に繋いで。
「えっと。私美羽っていうの。美しい羽って書いて美羽。いきなりなんだけど。友達になってください。」
は?なんで私?ていうかタイミング。
「うん。私あなた。よろしく。」
またこう言うしかなかった。
「あの...」
今更何を言いたいのだろう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。