第14話

第二章 一話 カフェとメール
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2020/12/27 06:19
詠永 零熾
詠永 零熾
ふぁあ〜……くそ寝み
次の日の放課後。
今日も普通に学校に来たが、昨日は案の定車での移動時間含めて帰りが遅くなり、日付をまたいでしまった。そういう時はやはり、学校に行くのが億劫に感じてしまう。でも何とか授業はやり過ごした。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
ん?丁度いい所に……。レイシ
廊下を歩いている最中、声を掛けてきたのはハーツラビュルの寮長。隣には眼鏡を掛けた人とチャラそうな人が居る。
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
お、君が噂のレイシ君か〜
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
俺も何処かですれ違ってはいるんだろうが、面と向かって話すのは初めてだな。ハーツラビュル寮の副寮長をしてるトレイ・クローバーだ。うちの後輩が世話になってるな
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
同じくハーツラビュル寮のケイト・ダイヤモンドだよ。ヨロシク〜
詠永 零熾
詠永 零熾
(また人が増えた……)
詠永 零熾
詠永 零熾
よろしくお願いします
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
エースとデュースから聞いたけれど、土曜日にスカラビア寮で食事会をするんだってね?
詠永 零熾
詠永 零熾
そうですね。十一時頃に集合らしいです
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
オクタヴィネル寮の三人組も一緒だとか
詠永 零熾
詠永 零熾
まぁ、オクタヴィネルの寮長が最初に提案したことなので
俺が言うと、ハーツラビュルの寮長は顔を顰め、呆れたように小さく溜息をついた。
それを見て、呆れられてんじゃん眼鏡君。と内心思ってしまったのは内緒だ。
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
何事もないといいんだけど……。
君の存在を知るのは時間の問題だったとはいえ、僕が先に君の存在をジェイドに話したのがいけなかったかな。彼等の企みに巻き込んでしまったならすまないね
詠永 零熾
詠永 零熾
いえ、お気になさらず。それに……誰であれ学校内で知り合いが増えた事に変わりありませんから。最近は良く話しかけられるようになったし
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
今みたいに、か?
詠永 零熾
詠永 零熾
そうですね。知らなかったらこれ以上話すこともなかっただろう後輩達にも声かけられるし
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
もしや、俺の過去投稿から全て始まったカンジ?だとしたら俺ナイスだね☆
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
まぁ、否定は出来ないな。そこからユウがレイシに会ってみたいなんて言わなかったら、こういう繋がりもなかったかもしれないし
リドル・ローズハート
リドル・ローズハート
何はともあれ、食事会ではうちの寮生二人を頼んだよ。あと、ユウのことも。彼等は中々の巻き込まれ体質だからね
ユウ君達のしでかしたらしき事件や問題は度々耳にはしていたが、詳しい事は俺もよく知らない。でも、ハーツラビュルの寮長が今言った通り巻き込まれ体質なのは何となく分かる気がする。
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
あと、レイシは甘い物は好きか?アレルギーとかは?
詠永 零熾
詠永 零熾
甘い物は好きです。基本的なんでも食べるので。アレルギーはないですよ
トレイ・クローバー
トレイ・クローバー
そうか。なら良かった。オクタヴィネルの三人の企みがあるかどうかはさて置き、食事会楽しめるといいな
話終わると、三人は俺が歩いてきた方向へと進んで行き、最後に軽く会釈して俺は廊下を真っ直ぐ進んだ。
今から、話にでてきたオクタヴィネルの寮へと向かうのだ。理由は昨日の眼鏡君との対面を機に、モストロ・ラウンジへと行く為。
詠永 零熾
詠永 零熾
(そもそも他の寮行くの初めてなんだけど。普通にオクタヴィネル寮に続く鏡に入りゃいいの?)
他の生徒がちらほらと鏡の中に入って行くので、俺も同じ様に鏡の中に足を踏み入れる。
すると、景色が変わった。建物の中にはいるものの、周りは広い範囲で水に囲まれていて魚が泳いでおり、海の中に寮があるのだと分かった。
詠永 零熾
詠永 零熾
(おー。洒落た店なのは知ってたけど、いい感じの雰囲気。カフェってよりBARみたいだけど、割と好み。ウランが居たらはしゃぎそうだな。海の中のカフェでもあるし)
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
おや、いらっしゃいませ。来て下さったのですね
詠永 零熾
詠永 零熾
あ、どうも。今日は特に用事がなかったので
空いてる席に案内され、ワンドリンク制なので早速飲み物を頼む。周りには他の寮の生徒達が友人と来ていたりして賑やかに話をしており、カウンター席の近くには眼鏡君と双子の片割れ君が忙しそうに働いていた。何となく昔を思い出す。
うちのセンバは元アルバイターで種類問わず、色んなバイトを掛け持ちしたりしていた。飲食店でのバイトは割と多かった気がする。俺もウランも学生時代は飲食店でバイトをしたことはあるが、俺の場合センバ程働く気は無かった。
詠永 零熾
詠永 零熾
(今の仕事も簡単ではないけど……お陰でメンタルは鍛えられたし、ラップスキルは上がったし、何より意外と自由に行動させてもらってて給料もそれなり。飲食店や事務職は俺には合わないから現状この仕事は気に入ってるなー。意外と。最初はどうなるかと思ったが)
最初はヒプノシスマイクでラップバトルを行う際に、スキルや精神力が無ければ精神的にも物理的にもやられてしまう。おまけに、ただの口喧嘩ではなくて流れてくるビートに合わせながら即興で言葉を乗せないといけない。いきなり流れる音楽に合わせ、韻を踏みながら言い返すのだから、言葉の意味も通ってないといけない。比喩や語彙力、リズム感等も必要になって来る。
それが出来るまで、俺達は無花果さん辺りから指導された。後は……物騒な輩や、チンピラ共からの威嚇、事件や問題が起きた際に怯まない度胸や、そういった奴らに負けない卑怯さといった悪の精神も必要になる。これは兎さんからの言葉だが。

詠永 零熾
詠永 零熾
(この仕事に就くからには、ある程度鬼にならないと行けないわけだ。初めは不安だったけど、型にハマったルールもなければ、言葉で殴ってるようなもんだから、相手からの威圧やラップに慣れると自然に言葉が口から出るようになる。飲食店でのバイトや普通の仕事覚えるよりマシかもしれない。少なくとも俺は。何せ、一人で敵陣に突っ込むわけじゃないしな)
“Crazy Kir”の全体のスタイルとしては、基本的に一番最初に声掛けたり、啖呵を切るのはセンバ。相手が乗っかった所で俺が入り、仲裁役に見せつつ相手を指摘する。それで相手が手を出して来たのを逆手に取り、正当防衛と称して反撃。
最後に、ウランがまとめてトドメをさすと言った具合だ。
犯人と警察で言うならば本来刺激しては行けないが、犯人に対して先に突っ込んで威嚇し、喧嘩を売るのがセンバ。隙を見てその間に割って入り、相手を説得または罪状を突きつけるのが俺。最終的に捕まえてワッパかけるのがウランという流れになる。
詠永 零熾
詠永 零熾
(センバの奴は俺達の中じゃあ感情的で短気だからな。そして主観的。ウランは理論的で相手とこちらのやり取りを様子見し、サポートするまとめ役。互いにバランスを取り合ってる訳だな)
しかし、これはあくまで仕事の際の順番で、何番手という順番を決めるならば本来一番手はウラン。二番手はセンバだ。
マジレスすると、俺達の世界で行われてるラップバトルと、ミュージックとして歌われるHiphopの中の洋楽ラップ、邦楽ラップとは別物として認識してくれればいい。
そんなことを考えていると、ドリンクが運ばれる。それと同時に料理を注文し、何人かからL〇NEが来ていたので、内容を確認するためスマホをいじる。
山田一郎
山田一郎
【よぉ。久しぶりだなレイシ。この間お前が貸してくれた漫画面白かったぜ。今度、空いてる日あるか?漫画返すついでに時間があるなら語ろうぜ】
詠永 零熾
詠永 零熾
(いちろーからだ。今度空いてる日は……)
スマホのカレンダーで日付を確認し、空いてる日付をいちろーに伝え、返信する。
いちろーとはアニメ繋がりで結構親しくしてもらっている。次に、他の人からのメールを見る。
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
【やっほー!ヨッちゃん!料理のレパートリー増えたから、セッちゃんも連れて、来週の日曜日にでもうちに遊びに来ねー?独歩ちんも久々の休みみたいだし】
来週の日曜日は俺は空いているが、センバは体力作りの為にジムに行き、格闘技を習いにも行くらしいので一緒には行けないだろう。おまけに、アイツは意外と実家住まい。母と妹と暮らしていて、年の離れた妹の面倒を見ることもある。
詠永 零熾
詠永 零熾
(とりま、センバにもメールで伝えといて……一二三にも“OK”スタンプ返信っと)
四十物 十四
四十物 十四
【近々東京の‪✕‬✕の方でミニライブをやることになったんで、良かったら来て欲しいッス!詳しいこと分かったらまた連絡するんでよろしくッス!】
詠永 零熾
詠永 零熾
(ライブか〜。つーか、一二三と十四に関してはリアルでもだが、メールでもたまに口調が変わんだよなー。俺もだけど)
白膠木簓
白膠木簓
【どもどもー!今月下旬頃、漫才の仕事でそっち行くんやけど時間あったらセンバ達連れて久々に飯食いに行かへん?特別に新ネタ見せたるで〜】
詠永 零熾
詠永 零熾
(お。ささらんも東京に来んのか。つか、高校の同級生からも今月空いてる日あったら焼肉いこーとか、引っ越したから遊びに来てよーとかのメール来てるし。明日の夜は乙銃女さんと会うことになってるし。予定つめっつめやな)
浅い関係且つ、友人という名の“知り合い”……主に異性付き合いはセンバが多いが、こうして見てみると、それなりに親しい人達とよく会ったり、どっか行ったり、飯食ったりするのは俺の方が多いかもしれない。そういう意味では、まぁまぁ深い関係の人が多いのは俺の方だろう。
ウランに関しては、俺達と一緒でないとあまり人付き合いはしないタイプらしいので、大体家にいると言う。そして俺がたまに食事に誘う。
メールの返信をしている間に注文した料理が運ばれ、眼鏡君が「こんにちは、レイシさん」とこちらに歩いてきた。
詠永 零熾
詠永 零熾
こんにちは
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
如何ですか?モストロ・ラウンジ初見の感想は
詠永 零熾
詠永 零熾
感想ですか。そうですねぇ……照明や音楽などで雰囲気は普通のカフェより落ち着いてるし、高級感ありますよね。海の中ってとこが尚更。結構賑わってるみたいですし、悪くは無いかもです。料理も美味しいし
運ばれた料理を一口食べたが、学生が作ってるとは思えない程意外と美味しかった。
俺も前まではたまーに簡単な創作料理をしていて、メンバーと一緒に食べることがあったが、最近はずっとコンビニで冷凍食品買うか、お菓子か、外食かだ。もしくは食べてない。基本的なんでも食えるし、大食いだけど……大体は気分で食べてるので、色々と偏っている。そう言う意味では偏食かもしれない。
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
因みに、レイシさんは食べ物の好き嫌い……もしくは体質的に口に出来ないものはありますか?お食事会に出す料理を考えていたのですが、レイシさんの事はよく知らないので確認しておこうかと。うちのフロイドは偏食ですし、ジェイドはキノコばかりですし
詠永 零熾
詠永 零熾
(キノコ好きなのかな?つか、聞くタイミング〜。丁度今考えてたし〜)
詠永 零熾
詠永 零熾
うーん、基本的なんでも食べます。ゲテモノとかじゃなければ。一人の時だと食べるものが偏ったりしますが、出されたら大体食べますかね。食い意地は張ってる方なので
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
そうですか。なら良かったです。お食事会楽しみにしていて下さい
詠永 零熾
詠永 零熾
あ、はい
詠永 零熾
詠永 零熾
(キノコっていえば……椎茸とか、いちろーと天谷奴さん嫌いみたいだったなー)
口で返事しつつ、頭の中では別のことを考えながら再び料理を口に運んだ。
お食事会ではどんな料理が出るのだろうか。それなりに楽しみではある。
詠永 零熾
詠永 零熾
(俺も、何か持ってった方がいいかな)

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