ユウ君達と話をしていると、教室にオクタヴィネルの三人と、何故かジャミル君、カリム君の計五人が入ってくる。後半の二人とはクラスは違うが、カリム君とはちょくちょく話をするし、カリム君がジャミル君の話をしたりするので名前を覚えてしまった。
それはともかく、オクタヴィネルの三人が居る時点で嫌な予感がする。
黙ってユウ君達のやり取りを見ていると、オクタヴィネルの眼鏡君がニコッと笑う。
見事に逃げ場を防がれ、後輩二人はたじろぐ。ユウ君に関しては用事も部活もないので断りようがない。見ての通り、学生同士の親睦会というより緊張感漂う強制的な食事会となりそうだ。しかし、次の休みの日は日中に用事はないが夕方頃になればウラン達とパトロールの仕事が入っている。
というか……
正直に答えると、意外にもあっさりしていたせいかユウ君達以外のジャミル君達が目を見開く。
和やかな雰囲気を壊すように眼鏡君が咳払いをする。知らない世界を知れる。それは一理あるかもしれない。この世界での常識と元居た世界での常識もちがければ、魔法があったり、ラップでバトったりしてる二つの世界があるのだ。面白いっちゃあ面白い。
とは言いつつ、L○NEはやっているけどこの世界に同じアプリはなければ、この世界にあるL○NEと似たようなアプリをダウンロードは出来ない。元居た世界使用のスマホなので。
この学校で連絡先を交換した奴なんていなかったので、三人とはいえ一気に増えるなぁ……なんて思いながらも「別に良いですよ」と承諾する。
今言われたように、モストロ・ラウンジには一度も行ったことは無いがそんなことまで把握しているのかと面食らった。細かいな。いや、ここは普通恐ろしいというべきなのだろうか?どうでもいいが。
モストロ・ラウンジは気にはなっていたが、高校生が経営しているカフェにしてはオシャレだし、この三人組が居るのもあってか少し入りづらかったのだ。
ウーパールーパーはセンバ。ミジンコプランクトンはウランのことだ。ウランは科学や海洋生物が好きで、一番初めは自分のことをクラゲと言っていた。俺としては、タツノオトシゴでもアリかと思うが。
なんて話をしていると、ユウ君が「あ、そろそろ戻らないと」と、時計を見て小さく零す。すると、オクタヴィネルの三人とジャミル君達も「では、また」と言って教室から出ていく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!