第26話

第三章 七話 ボランティア?センバ視点
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2021/01/23 08:57
ヨコハマ・ディビジョンの港近くに着いたが、レイシ達は降ろした場所にはいなかった。メールではコンビニに行くから待ってて、とのこと。
実はこの後左馬刻達と会って、話をする予定になっている。話と言っても、大した話ではない。ヨコハマ周辺の情報交換のようなものだ。ヨコハマは治安が良いとは言えない。左馬刻達は薬物売買を行っている輩を捕まえたりしているので、俺達が収集した情報を提供することがある。今回もそんな感じだ。
カリム・アルアジーム
カリム・アルアジーム
おー!海だ!
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
今はまだ日が出てるけど、夜景は綺麗だぞ
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
横浜ですよね?ここ
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
今はヨコハマ・ディビジョンだけどな
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
ヨコハマ・ディビジョン?
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
詳しいことは後で話すよ。アイツら、近くのコンビニにいると思うし、ここでちょっと待ってて。お前ら服目立つし、すぐ見つかるだろうからさ。俺一服してくる
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
タバコ、吸うんですか……
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
まぁな。大丈夫、すぐ戻ってくるから
喫煙所に行き、早速タバコを吸う。
ウランからは吸いすぎと注意されるが、これでも本数は減った方だ。
ただ、車の中がタバコ臭いと二人にボロクソ言われるので最近は車内が臭わないように消臭したりして気を付けている。
俺が一服している間に、学生組の方は早くも面倒な連中に絡まれているようだったが、俺は気付かずに居た。
男1
男1
随分目立つ奴等がいると思ったら、お前ら……“セン達”の知り合いか?
男2
男2
今アイツら居ねぇし、丁度良い。ちょっと顔貸してくんね?
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
はぁ?誰、アンタ等
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
どの世界にも、こういう輩っているんですね
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
この世界に魔法は存在しませんので、なるべく目立たない為にも魔法以外の方法で相手するしかなさそうですね
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
え、何、やる気なんすか!?ここで!?
デュース・スペード
デュース・スペード
センって……名前が染覇だからか?レイシ先輩達、こいつらになにしたんだ……
男2
男2
ほら、マイクはどうした。憂さ晴らしに相手になってくれよ
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
……マイク?
男1
男1
あぁ?お前ら、“ヒプノシスマイク”持ってねぇのか?まぁどっちだっていいさ。ラップバトル、始めんぞ!
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
何故、ラップバトル……?
グリム
グリム
お、おい!アイツらがマイクのスイッチ入れたら、周りの風景が変わったんだゾ!
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
な、何これ!?
騒がしい声が聞こえて駆けつけると、厳つい二人と、その仲間らしき男共が集まって居た。
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
おい!
カリム・アルアジーム
カリム・アルアジーム
あ、来た!な、なぁ、これどうなってるんだ?音楽が流れてきたし、アイツらの後ろから変なスピーカー?でてないか
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
ラップバトルを挑まれたか。お前ら下がってろ。あと、言い忘れてたけど俺のことは十字風染覇じゃなくて“セン”って呼べ。いいな?
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
なんだか、複雑な事情がおありなようですね。フロイド、ジェイド。僕達が下手に前に出る場面でもなさそうですし、大人しくしておきましょう
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
えー
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
そうですか。残念
相手がラップをし始め、攻撃に耐えてみせる。学生組は「今の何!?」と驚いていたが、答えている暇はない。すぐさま自分の持っているハンドマイク型のヒプノシスマイクを起動させる。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
センさんの後ろにも似たようなスピーカー出た!つか、マイク常備!?形変わったし!
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
《調子に乗んな? ぶち込む鉄格子の中 ぶっ潰す手前等 相手ならしてやるこの俺が 起こす行動 来るなら来いよ正々堂々 ビビる輩を迅速に清掃 粋がるな馬鹿野郎 喧嘩売るなら耐えきれんだろこの程度》
こんなのはまだまだ序の口だが、どうやら相手には効いたらしく、喧嘩吹っかけてきた二人が情けない声を上げてその場に崩れ落ちる。それと同時に「おーい」と、レイシとウランが走って来る。
ジャミル・バイパー
ジャミル・バイパー
周りの風景が元に戻った
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
レイシ先輩……!
詠永 零熾
詠永 零熾
すみません遅れました。
何やら面倒なことに巻き込まれたみたいですね
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
この子達が“ヨミ”の同級生と後輩君達〜?
詠永 零熾
詠永 零熾
えぇ。皆さん、僕のことはここではレイシではなく“ヨミ”と呼んでください。このチビッ子は盧守海藍。ですが、“アイ”と呼んであげてくださいね
デュース・スペード
デュース・スペード
は、はぁ……。名前を呼ばれては行けない理由が?
詠永 零熾
詠永 零熾
ちょっとした事情がありましてね
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
お前ら来るのおせーよ。話はあとだ。まだ他にいる。次はお前らに任せんぞ
喧嘩吹っかけてきた二人の他の仲間がヒプノシスマイクを起動させるが、それより先にレイシとウランがマイクを起動させ、先手を打つ。
詠永 零熾
詠永 零熾
《なんと愚かな果断かだん 波乱満ちるこの航海 今更しても遅いぞ後悔 お前らには用意してない大船 落ちる海の底で 沈没したらなっとけ沈黙する 水死体 意味無いクズ共 海の藻屑もろとも 皆と消えとけハマの港から》
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
《ライフセーバーとレスキュー隊?お呼びでないから 無い命綱 このミスは 自己か連隊か レンタルするならあげる 紐ない浮き輪 責任者 不在ならまとめて沈める サメの餌 今ならそうだ降参 してみるなら 待つよ優しい僕は》
他の連中までもがまとめて潰され、「すんませんしたー!」と逃げながら謝る奴も中には居た。情けないったらありゃしない。
詠永 零熾
詠永 零熾
はぁー。やれやれ。一体なんだったんですか?彼等
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
さぁな。いつの間にか居た
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
多分、僕達がいつかとっちめた連中の仲間じゃないかな?
三人で話をしていると、学生組の視線を背中に感じて振り返る。青髪の子が「えーと……レイ……ヨミ先輩、今更なんですけどなんでスーツなんすか?」とレイシに聞く。
詠永 零熾
詠永 零熾
仕事だからです
カリム・アルアジーム
カリム・アルアジーム
仕事って……あれ?お掃除ボランティアってのは……
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
は?なにそれ
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
あっはは!ヨミってばそんな風に誤魔化してたの〜?
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
あー。嘘ってことね……
詠永 零熾
詠永 零熾
心外ですね。あながち嘘ではありませんよ?あの様な輩をお掃除する仕事って意味では、ね
グリム
グリム
な、なんか……学校に居る時とキャラが地味に違う気がするんだゾ……
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
先輩のオーラが黒い……
どうやら、学校でのレイシはそんなに黒くないらしい。私からすりゃあ高校の時から普通に腹黒い印象しかないのだが。

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