ヨコハマ・ディビジョンの港近くに着いたが、レイシ達は降ろした場所にはいなかった。メールではコンビニに行くから待ってて、とのこと。
実はこの後左馬刻達と会って、話をする予定になっている。話と言っても、大した話ではない。ヨコハマ周辺の情報交換のようなものだ。ヨコハマは治安が良いとは言えない。左馬刻達は薬物売買を行っている輩を捕まえたりしているので、俺達が収集した情報を提供することがある。今回もそんな感じだ。
喫煙所に行き、早速タバコを吸う。
ウランからは吸いすぎと注意されるが、これでも本数は減った方だ。
ただ、車の中がタバコ臭いと二人にボロクソ言われるので最近は車内が臭わないように消臭したりして気を付けている。
俺が一服している間に、学生組の方は早くも面倒な連中に絡まれているようだったが、俺は気付かずに居た。
騒がしい声が聞こえて駆けつけると、厳つい二人と、その仲間らしき男共が集まって居た。
相手がラップをし始め、攻撃に耐えてみせる。学生組は「今の何!?」と驚いていたが、答えている暇はない。すぐさま自分の持っているハンドマイク型のヒプノシスマイクを起動させる。
こんなのはまだまだ序の口だが、どうやら相手には効いたらしく、喧嘩吹っかけてきた二人が情けない声を上げてその場に崩れ落ちる。それと同時に「おーい」と、レイシとウランが走って来る。
喧嘩吹っかけてきた二人の他の仲間がヒプノシスマイクを起動させるが、それより先にレイシとウランがマイクを起動させ、先手を打つ。
他の連中までもがまとめて潰され、「すんませんしたー!」と逃げながら謝る奴も中には居た。情けないったらありゃしない。
三人で話をしていると、学生組の視線を背中に感じて振り返る。青髪の子が「えーと……レイ……ヨミ先輩、今更なんですけどなんでスーツなんすか?」とレイシに聞く。
どうやら、学校でのレイシはそんなに黒くないらしい。私からすりゃあ高校の時から普通に腹黒い印象しかないのだが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。