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2021/04/25

第33話

第四章四話 Crazykirデュース視点
僕達は今、面倒事に巻き込まれている。違法マイクを持った男三人が女性と周りに居る人を人質に、センバさんとラップバトルを行おうとしているのだ。地面に座り込んでいた女性はウランさんが保護し、つい先程レイシ先輩から警察に通報はしたと聞いたが、警察が来るまで男性達を足止めしつつも他の人達にも危害が及ばないよう警戒しなければいけない。レイシ先輩達がそこまでするのはきっと、“秘密警察”としての責務があるからなのだろう。
デュース・スペード
デュース・スペード
(武器や拳じゃなくて“言葉”で戦う世界か……。改めて考えると、凄い世界だよな。ラップは僕達の居る世界でも普通に存在してるけど、あくまで音楽の一種で目に見える特別な力が宿っているわけじゃないし)
出来ることなら何か手伝いたいが、魔法は禁止と言われたし、ラップが出来るわけでもヒプノシスマイクがある訳でも無い。下手にでしゃばって状況を悪化させるわけにも行かない。そんな時だった。
男性のうちの一人がセンバさんを見て、ハッとした。
男2
男2
てめぇは確か……ハラジュク・ディビジョン代表Crazy Kirの……!
男1
男1
何!?ってことは“夜の追跡者ナイト・トラッカー”か!?
グリム
グリム
ナイト・トラッカー?
詠永 零熾
詠永 零熾
なんか知りませんけど、裏の界隈ではそう呼ばれてるみたいですよ僕達。“闇夜の執行人”だとか。秘密警察の仕事は夕方から夜……長い時は日付跨いだ夜中にかけて活動していることがほとんどですので。いかにも厨二病的なネーミングセンスですよね。僕は嫌いじゃないですよ?
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
僕達、悪い子にお仕置きするのはそれなりに得意だからね〜。正しくは得意に“なった”だけど
デュース・スペード
デュース・スペード
って、良いんですか?二人は加戦しなくて。あの人達とセンさん一触即発ですよ!?
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
今は僕達、ちょっと様子見だから後からちゃあんとお手伝いするよ〜。多分、もうそろそろかな
こんな話をしていると、先手必勝で男性の一人が違法マイクを起動する。それと同時に周りの雰囲気が変わり、男性のバックにスピーカーが現れ、音楽が流れる。ラップバトルが始まったのだ。
一人の男性に続き、他二人の男性が音楽に乗せてラップをし始める。すると、違法マイクのせいか、倍になった威力でセンバさんが物理攻撃をくらってしまう。
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
ちょっ……!?
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
センさん!
前に出そうになるエースとユウ、そして“俺”をレイシ先輩が止める。レイシ先輩は自身の口元に人差し指を当てると、「そら、落ち着きなされ。センなら平気ですよ」と笑った。その言葉通り煙が止むと、膝をつくどころか攻撃に耐えたセンバさんがピンピンしながらヒプノシスマイクを起動していた。
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
てめぇらその程度か?凄いのは違法マイクの威力であって、アンタらのスキルなんざ大したことねぇな!俺等が倍で返すから覚悟しろや!
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
あっはは!出た〜センの啖呵切れ。しかも半ギレじゃん。違法マイクでの攻撃はやっぱり普通のヒプノシスマイクより少しは効いたみたいだね。痛そ〜。じゃあ先手はセンに見せかけて〜僕が行こっかな!
詠永 零熾
詠永 零熾
およよ〜……恐ろしや〜。僕はこちらで傍観してますので……と言いたいところですが、僕も参加しましょうかね
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
……その人をおちょくったような余裕っぷり、どうやら先程のヨミさんの“慣れている”発言はあながち嘘ではなさそうですね
ウランさんやレイシ先輩がマイクを起動し、同じようにスピーカーが現れた後、音楽が流れ始めた。この時点で既に迫力がある。だが、あっちには女性が捕らわれているし、攻撃していいのだろうか。
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
僕達の街で悪さしたら許さないかんね!じゃあ行っくよー!
────────《Hey!You look at me!悪い子ちゃん達即お掃除 しちゃうよ僕達!忽ち バチバチ 火花散らし カワイ子ちゃんにお触り禁止!蜂のように突き刺しパニック 性悪なら負けない このバトル既に 僕が掌握 》
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
男の人達が唸り始めて、女性から手を離した!なんで……!?
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
《驚愕もん何がクソな世の中?口程にもねぇなお前等! Nakedネイキッド野郎見届けてやるよ死ぬ最後! 喚いてんな単細胞 あ?こそ泥には無い逃げ道 今度こそ木っ端微塵 頭に血ぃ上んなら 用意しとけ 今後ニフェジピン 》
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
あはは!“単細胞”とかひでー
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
間違いではありませんけどね
詠永 零熾
詠永 零熾
《ニフェジピン?飲むなら貴方では?(笑) 逃す気 ないけど んーやれやれ 付き合いきれない そろそろFinaleフィナーレ 僕飽きてきましたし この場で そら、這いつくばって ハイハーイBABYベイビー 五月蝿い口は猿ぐつわで ほら、縛ってパピー もうそろお迎え それまで 大人しくしましょうね はい、座って》
Crazy Kir
Crazy Kir
《生意気な口はchuckだBambi 無駄な足掻きまるで生きる屍 ゾンビなら生きる資格はねぇ NobodyNobody迅速にお掃除 その耳かっぽじってよく聞けお利口に 無理矢理響かせる俺等のライム お前等の鼓膜裂く
切る斬るkill 三人揃えば我らがIt's“Crazy Kir”!》
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
にゃはははは!どーだ!
てかヨミのラップ完全に煽ってるしペット扱いな上に雑っ!でもなんだかんだで僕達よりヨミの方が言ってること酷くない!?
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
アイツ……前半俺に言ってたな。つか、俺は高血圧じゃなくて低血圧だからな?啖呵は切るが、頭に血が上りやすい訳でもないし
※ニフェジピン:狭心症や高血圧等の方に用いられる薬
人質の女性はウランさんのラップの際に解放され、男性達は気絶している。
レイシ先輩のラップが終わった頃には警察は来ていたが、今度は“別の理由”で辺りがざわつき始めた。
ファン1
ファン1
あれって、Crazy Kirじゃない?
ファン2
ファン2
本当だ!しかも三人揃ってるー!
ファン3
ファン3
あの三人が助けてくれたの!?
ファン4
ファン4
本物じゃん!生で見んの初めてだわ俺!
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
ここからが、“エンターテインメント”だねヨミ
詠永 零熾
詠永 零熾
はい。悪い空気をガラッと一気に変えますよ
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
その後どうせ逃げるんだろ?知ってる
ついさっきまで“秘密警察”の時のような“お掃除モード”だったのに打って変わって、後ろを振り向いたウランさんの表情がパッと晴れる。その瞬間、微かにこの場の空気が良い方へと変わり、雰囲気も少なからず明るくなった気がした。
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
やほやっほー!オーディエンスの皆ー!僕達ハラジュク・ディビジョン代表、Crazy Kirだよ!こわーいお兄さん達は僕達が倒したから安心してね!
ウランさんが集まって来た人達の目を引いている間に、レイシ先輩やセンバさんが巻き込まれた女性二人に声を掛け、警察に事情を話して違法マイクと男性三人を引き渡した。
パトカーが去るやいなや、レイシ先輩とセンバさんもウランさんと一緒に公衆に向かって話し始める。
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
誰も怪我人はいないみたいだな
詠永 零熾
詠永 零熾
お姉さん達も無事で良かったです
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
暗〜い雰囲気とはおさらば!僕達のリリックでこの街を明るくしちゃうよ!Let's go!
突然弾けるようなポップな音楽が流れ出し、辺り一帯が明るく爽やかな空間へと変わる。
不安や心配な表情を浮かべていた人達も、三人を見てからは笑顔になり、ワァッ!と盛り上がっている。
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
不穏な空間の次は真反対の明るい空間……。原理は分かりませんが、不思議ですね。これも“マイク”による力なのでしょうか?
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
でも、良い意味で人が次から次へと集まってるのは間違いないですね
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
“はいはいはーい!レペゼン・ハラジュク!We are Crazy Kir.Come on here everyday!”
────────《NO.1 Hi! So 僕が“Sledge・H”。Hello!
良い子ちゃん 毎度 エキセントリックにキメちゃうそれが僕“藍”さ!
液晶ディスプレイでNo No観れない NOW 貴重なシーン ご覧よさぁ!一心不乱に“愛”届け 悲哀はNo thank you.この街に振り撒くHappiness♪僕からホイホイホイバトンタッチ 続けてヨロシク!頼んだよMy Kir here we go》
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
《パンチ効いたリリック繋ぐ NO.2 声上げな俺が“M・Widow”
騒動には駆け付け対応。直ぐ様行動 負ける気しねぇぞ 太陽の如く燃えるそれが俺Yo!Hey!Girls&Boys say jump!来るなら来な PUT YOUR HANDS UP New wisdomウィズダム 覚えとけ俺達の名》
詠永 零熾
詠永 零熾
静寂閑雅せいじゃくかんがに行きましょうか僕の番だ。NO.3 “Soul・K”
何時だってフリーに 不意打ち貴方へ無茶振り 是々非々ぜぜひひ?時と場合さ 厭わない手段 嘘か真か 善か悪か 天使か悪魔か 常にTwo-sided.ハラジュク魅せる多重のフェイス チラつかせるマスクの下はシーッ秘密 さぁ君も虜に Welcome to the Harajuku》
Crazy Kir
Crazy Kir
《何処までもイくぜSo be it!》
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
《ついて来れるか俺達の方に》
詠永 零熾
詠永 零熾
《破天荒それはIt so me.》
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
《くたばるにはまだ早いさ君達》
Crazy Kir
Crazy Kir
《Crazy Party Night!YA!
ほら掲げな“K”のサイン これが最高のめぐり逢いKir123アンドゥトロワで行くぜCrazy Kir!One more ついてこれるか俺達に スカしてんな くたばるにはまだ早いさ ほら掲げな“K”のサイン これが最高のめぐり逢いKir123アンドゥトロワで行くぜCrazy Kir 》
歌が終わると歓声が一気に響いた。レイシ先輩達の歌は凄かったし、迫力もあり鳥肌が立ったし、とても盛り上がるのも分かる。だが───────
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
いつからライブ会場になったんですかここは
デュース・スペード
デュース・スペード
僕も思いました
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
でもエイちゃん達スゲー人気者じゃん?楽しそーだけど?
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
芸能人、という訳ではなさそうですが知名度は高いみたいですね
グリム
グリム
オレ様は聴いてたら一緒に歌いたくなったんだゾ!
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
数分前の事件が嘘のように忘れ去られている気ぃすんの俺だけ?街の雰囲気や空気も、そこら辺に居る人達の顔も……事件前の時と……いや、俺達が来た時以上に明るくなってるし
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
んー……むしろ、それが狙いなんじゃ……?
僕達がそんな話をしている間に、レイシ先輩達の周りにちらほらとファンらしき人達が寄って来て、貰い物をしている。しかも驚いたのが、そのファンの中に人質にされていた女性二人が居たのだ。
人質女性2
人質女性2
あ、あの、私実はCrazy Kirのファンで……!その、先程は助けて頂いて有難うございました!よ、よければ握手して下さい!
詠永 零熾
詠永 零熾
握手だけなら構いませんよ
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
あっはは♪全然大丈夫だよー!
人質女性1
人質女性1
えと……私、あまりMCとか詳しくないんですけど、三人共かっこよかったです!ハラジュク・ディビジョン代表なんですよね?これからも頑張ってください!
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
おう、サンキュー。帰り、気をつけて帰んなよ?
デュース・スペード
デュース・スペード
(芸能人……では無いみたいだけど、もはや芸能人並では……?平然と対応してるし、こなれてる感があるな)
ファンが増える中、ウランさんが僕達の方をチラッと見てから口パクで何かを伝え、道の先をこっそり指差した。
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
何か、言ってますね
ジェイド・リーチ
ジェイド・リーチ
……あぁ、なるほど
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
え、分かったんすか?
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
先走れって〜。エイちゃん達もファンから逃げるつもりなんじゃねぇの?
ユウ(監督生)
ユウ(監督生)
そういう……!じゃあ、早く行きましょう!
僕達が先に走り出すと、リーチ先輩の言っていた様にウランさん達もファンの方に背を向けて、僕達のあとを追いかけてきた。
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
ゴメンねお雛ちゃん達〜!僕達はこの後大事な用事があるから行かなきゃ〜!
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
じゃーな!俺達のこと追いかけて転んだり、事故んなよー!
詠永 零熾
詠永 零熾
ハッハッハッハー。これぞまさにリアル鬼ごっこですね。皆さん大変お待たせ致しました。巻き込んでしまってすみませんね。てか足速いですね。流石だわ
エース・トラッポラ
エース・トラッポラ
本当、散々な目にあったすよー!って言いたいとこだけど、言うて俺達何もされてないし、それどころか先輩達のラップ聴いて内心盛り上がってたんで気にしてないですよ。攻撃する時の迫力パなかったぁ〜!
デュース・スペード
デュース・スペード
それは分かる。リズムも良いし、即興だからヨミ先輩達が次にどんな言葉を音楽に乗せて反撃するのか分からない分飽きないし……でも、アイさんがラップした時男性が人質の女性から手を離しましたけど……何をしたんですか?男性三人唸ってましたが
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
僕は相手を錯乱状態にすることができるんだ〜!次に向かうシブヤ・ディビジョン代表チームの一人に幻惑系を使える人がいるんだけど、僕の場合は“毒や薬で精神を侵される感覚”に近いかもね。侵されたことないから知らないけど。しかも、僕とヨミのヒプノシスマイクは新しい試作品だからか、ちょっと特殊でね。アビリティ効果を“二種”発揮出来るんだ
詠永 零熾
詠永 零熾
アイの言葉にもあったように、アイのラップは“毒”にも“薬”にもなります。“毒”状態の時は今教えたような錯乱状態、もしくは洗脳とまでは行きませんが、催眠状態で短時間人を操れます。“薬”状態の時は自己やメンバーの回復または防御など、主にサポート面の能力が上がります。
僕のは……まぁ、それはまた後ほど
アズール・アーシェングロット
アズール・アーシェングロット
途中で止められると逆に気になるんですが。しかし、まさか各個人のラップにその様な効果があるとは驚きましたね。“言葉が力を持つ世界”……中々興味深いです
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
なんでエイちゃんとイカちゃんは新しい試作品なのに、メヌケちゃんは違うの?
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
あれ?僕、イカに進化してる?
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
え、何?マヌケ?
詠永 零熾
詠永 零熾
んん"ふ……っ……!“マヌケ”って……くくっ
フロイド・リーチ
フロイド・リーチ
言ってねぇから。何、“マヌケ”って呼ばれたいの?ならそうするけど?
詠永 零熾
詠永 零熾
そうしてやってください
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
オ"イ"。やめてくれよ。
んで、なんで俺のマイクだけ違うのか、だっけ?それはね……なんつーか……
盧守 海藍(ウラン)
盧守 海藍(ウラン)
頭に血が上るはともかく、センは僕達の中じゃあすーぐ感情的になるし、何かと物を無くしたり、僕に借金してるように人間関係のいざこざが多いからねー。心配されて渡されなかったの。新作とはいえ試作品だから未完成だったり不具合のあるものも多くて、不具合ナシの完成に近いマイクの数が他に無いって理由もあるんだけどね。ただ、そーんな数少ない極僅かな新作をセンに渡して、無くされたり他の人に取られたりしたら問題になりかねないでしょ?
詠永 零熾
詠永 零熾
ただでさえ、通常のヒプノシスマイクですらも未知数な部分が多いのに、新作なんか何が起こるかすら持ち主である僕達にも分からないんですよ?それに加え、制限はされているけど威力もあるにはありますし、他人に勝手に使われたり売られたりなんかしたらねぇ?
十字風 染覇(センバ)
十字風 染覇(センバ)
お前ら二人して俺の方見るのやめろよ
知らぬうちにファンをまくのに成功し、僕達は無事車がある駐車場へと逃げ切れた。
直ぐ様車に乗ってセンバさんがエンジンをかけ、シブヤ・ディビジョンという場所へと向かう。
デュース・スペード
デュース・スペード
(シブヤ・ディビジョン……何があるんだろうな)