第3話

1.
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2022/09/09 14:38
佐々木   side





少女漫画の中で、もし私がヒロインなら


この片想いは最終的には結ばれる、はずだ。




けど、その結ばれる条件としては、大体の男の子は彼女がいなくて


向こうも、ヒロインことを密かに想っていたりする。




なのに、私のいる現実はそうじゃない。












私が例え、貴方に「好き」とか言っても


心に届くわけもないし、この気持ちを受け止めてくれる訳でもない。


私が、貴方の為に必死に好みの女になろうと毎日努力して


それに気づいてくれたとしても、振り向いてくれることはない。



そんなヒロインになれない私は、きっと、今、


宇宙一辛い片想いをしている。















『行ってきまーす。』




私の声が静かに部屋の中に響き渡り、


そっとドアを閉めて、ガチャっと鍵も閉める。




「あなた、おはよ。」




右耳の方から声が聞こえてくる、大好きな声。


その声に素早く反応する。




『大吾、おはよう、笑』


西畑「なに笑っとん、笑」


『いや、別に?』


西畑「なんやねん。」




毎朝、毎朝、こうして私が家を出てくる度に


まるで日課のように、大吾は私に顔を出して


「あなた、おはよ。」


と言ってくる。




この日課が、私にとっては嬉しいでしかなくて


ついついにやけてしまう。




西畑「今日もおばさんは?」


『仕事。』


『最近忙しいんやってさ。』


『まぁ、しょうがないよね。この歳になって寂しいとか言ってられんし。』






私のお母さんは、まだバリバリのキャリアウーマンで


家を空けることが多い。


お父さんは、単身赴任で海外に行っちゃって。


だから、家の中では正真正銘のぼっちだ。





西畑「そうなんや、」


「あ、じゃあ、きょ、」












「大吾くん、」




大吾がなにかを言いかけたとき、透き通った透明感のある肌で、ふわふわとした髪の女の子が


少し離れたところから、大吾の名前を呼んだ。




大吾も、それに気づけば


パッと表情がさっきよりも笑顔になって、


相手の名前を呼ぶ。




西畑「かれん。おはよ。笑」


成瀬「おはよう、笑」


「あ、あなたさんも、おはようございます、笑」


『おはよう、笑』


『今日もお綺麗ですね、笑』


成瀬「ま、またまた、、/ / / 」


西畑「おいあなた、人の彼女をナンパすんなや!」


『別にナンパしてへんし!!』


『朝からうるさいわ。このバカップルが。はよ、2人で行き、!』


西畑「、、(睨)」


『なんやねん!!』


『今は、なんもしてへんやろ!!笑』


西畑「笑。」


成瀬「だ、大吾くん、行こ!!」


西畑「おぉ、せやな。」





方向転換すると、2人は駅の方面に向かって歩き出した。


少し離れたところまで、2人の後ろ姿を見つめると、


2人は仲良く手を繋いだ。






そう、2人はカレカノだ。


学校でも、美男美女のカップルだとめちゃめちゃ有名で、


私が入れる隙なんか、傍から見ても1ミリ足りともない。


それでも好きなんて、自分、どこまでバカなんやろ。






「ほんっと、お似合いだよね。」


『、?!』


『なんだ、希美か。おはよ。笑』


澤田「「なんだ」ってなに???」


「せっかく、あなたがぼっちだから一緒に学校まで行ってあげてるのに。」


『ごめんって〜、』


澤田「笑。嘘、嘘。」


『だるいわーーー。』


澤田「にしても、学年1の美女の成瀬さんの心掴むとか、西畑くんやるよね。」


『、、、』


『だって、大吾もかっこいいもん。』


『そりゃぁ、成瀬さんが惚れる理由も分かるよ。』






成瀬さんは大吾に惚れて、


大吾は成瀬さんに惚れた。





ちゃんと2人は両想いなん、ちょっと辛い。





澤田「、あなた、、、」


『笑。朝からこんなに暗いの嫌やんな。笑』


『よし、行こか!!』




私が一歩踏み出したとき、希美は笑顔でこう言った。





澤田「あなた、、元気になる魔法かけてあげる。」


『、?』



















「今日の数学、抜き打ちテストあるらしいよ。」


「しかもそれ、ばっちり評価入るやつ。」


『、、、え、?!?!!』


『え、ちょ、それ、がちのやつ??』


澤田「あんた、私を信用しなさいよ。」


「これ、先生からの極秘情報やぞ。」


『それのどこが、元気になる魔法なの?!?!』


『頭イかれたんか』






数学の抜き打ちテストって、、


最悪。うわうわうわ、えぇ。





『学校休もかな。』


澤田「さっきのあんたの興奮の熱どこいったのよ。」


『もぅぅぅぅ、希実のばかぁぁぁぁぁぁ。』


澤田「教えてあげるから、学校さっさと行くよーー」





そう言うと、希実はスタスタと私を置いて歩き出した。





『え、希美教えてくれるん?!?!』


澤田「まぁ、あなただから教えてあげるよ。」


『ちょ、もう、なにそれ。』


『のぞみん、大好き〜〜〜〜🤍』


澤田「やっぱ、教えんのやめよかな。」


『え、やだ。ごめん。』


『教えて下さい。女神様。』


澤田「笑。」







こんな辛い片思いをしても、こうして毎日元気に楽しく学校に行けてるのは、


正真正銘、希美のおかげと言っても過言ではない。
























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