やっぱり…檜原、ぶりっ子ってやつなんだ。
よくわかんないけど。
心操は…洗脳の人か。
天井も高いけど、本棚も天井と同じくらい高い。
そのため、図書委員を呼べば脚立を持ってきてくれるし、司書を呼べば"個性"で取ってくれる。
とりあえず、気になるものを何冊か、
交希に手伝ってもらいながら本棚から取り出し、
他の生徒達のように、テーブルまで持っていき、
それを一冊ずつ読み始めた。
大正時代に絶滅した生き物。
人間の血肉を食らう化物。
彼らには知性があり、巧妙に姿を隠している。
驚異的な生命力を持ち、手足がもげても、腹に穴が空いてもすぐに再生する。
弱点は日光と、日輪刀と呼ばれる特殊な刀のみ。
それでも、頸を刎ねねば死に至らない。
そんな鬼を殺す術を身に付け、
人知れず鬼を狩る者達を、
「鬼殺隊」と呼ぶ。
それからは没頭しすぎて、鬼殺隊について書かれている本はほぼ全部借りた。
てか、お昼食べ損ねた…
わぁ、遅刻しちゃうぅ〜。
ガラッ
理由を言えば許してくれるかな。
~ ~ ~
4月20日。
今日は雄英高校ヒーロー科、1年A組に通う
爆豪勝己の誕生日。
彼の友達、狛魏あなた、切島鋭児郎、上鳴電気、そして瀬呂範太は、この日の為に色々と準備をしてきた。
飾り付けは男子三人で買いに行ったり、
ケーキ作りはクラスメイトの砂藤力道に手伝ってもらいながら、狛魏が手作りで作った。
全寮制になった雄英。
四階にある、本日の主役の部屋に侵入した四人。
クラッカーを持った男子三人が、ケーキを持った狛魏を囲むように立ち、クラッカーを鳴らしたあと、狛魏がケーキを差し出す。
ということになっている。
主役が出かけている間に侵入し、
飾り付けを勝手につけた。
これを見たらさぞかし怒るだろうが、
今日はそれもいいと思えた。
そして ガチャっとドアの音が聞こえたその時…
____パァンッ!!
グチャ、と嫌な音をたてながら狛魏は転ける。
ケーキは爆豪の顔面に直撃。
狛魏の顔にも結構クリームがついてしまっていた。
そうしようと、予め用意しておいたタオルで顔をふこうとすると、
爆豪の手でそれを制される。
目元のクリームを拭いながら、
少し口角をあげ、そう言ってくる。
静まり返った部屋には、
顔中クリームだらけの二人が入口で突っ立っている。
同じ四階にある自室へ行き、
お風呂に入る準備をする。
準備が整えば、クリームだらけの二人は一緒にエレベーターに乗り込み、下の階へ向かう。
今日も仲がいい狛魏と爆豪だった。
かっちゃん、誕生日おめでとー!🥳
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。