〜ヒラside〜
俺が休憩所のテーブル席に座ってぼーっとしていたら、兄ちゃんが来た
最後だろうけど…楽しんでねフジ
あなたちゃんとのデート
…
〜フジside〜
リフト乗ってます
ヒラ…
機会…ねえ…
彼氏持ちのキミの前で弾けるわけないじゃない?
ヒラも酷いことしてくれるよ…俺にどうしろっていうの?
この顔間近で見れる彼氏マジで羨ましいわ
ニッと歯を見せて笑ってもかわいい
これ拷問だよヒラ…
『リフト長い…早く着いてよ…』
なんて思いながら…内心まだつかないでと思っている自分が確かにいた
…
思っていたより彼女は飲み込みが早く、教えがいがあった
今のところ1度も転んでいないし、センスはいいんだと思う
俺の気持ちも知らないで…本当に楽しそう
顔全く見えないけど…
笑い声が丸聞こえだから…分かっちゃうんだよね…
もう1回…
もう1回俺は…リフトに乗れるんだ
この子と一緒に
そして他愛もない話をしながらまた上に上がった俺たちは、2度目の滑りに入った
なんて無邪気
これぞ純粋無垢
滑り終えたその時…
後ろに倒れそうな彼女の腕を掴んで引き上げようとしたが、坂道で前のめりになっていた俺の身体は前へと傾いて倒れた
そして…彼女の…
俺が決して触れてはいけない場所に…ごくあっさりと唇が触れた…
そう彼女の口に…
いやいや気が云々じゃなくて…
あーどうしよう!
俺は顔熱々のまま家族の元へ戻った
どうしよう…俺
キスしちゃったよ…
〜あなたside〜
その日のお昼は何食べたか覚えていない
ずっと心臓うるさかった…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。