第52話

君は俺のヒーローでもある人
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2020/06/26 00:52
その日のスキーは何事もなく

フジとも遭遇せず…まああれは偶然だけど…


夜になって…あとは寝るだけ!となった時…あなたちゃんは椅子に座ったまま窓の外を見ていた


ヒラ
ヒラ
あなたちゃん寝ないの?
(なまえ)
あなた
うん…寝たくないなぁって…
こちらを見ずに言う彼女は…


本当に寂しそうで…


聞かずにはいられない
(なまえ)
あなた
寝たら帰らないと行けなくなるしね…
ヒラ
ヒラ
あなたちゃん!
(なまえ)
あなた
なっなに?
ヒラ
ヒラ
朝俺に何言おうとしたの?
教えて?
(なまえ)
あなた
………
それを聞いた途端に…


彼女の瞳から涙がポロポロ零れ落ちた
ヒラ
ヒラ
えっあっあなたちゃん大丈夫?
お茶飲む?
(なまえ)
あなた
ぅん…
ヒラ
ヒラ
あなたちゃんが泣いてるの初めて見た
(なまえ)
あなた
そう…だっけ?
ヒラ
ヒラ
うん…中学のあの時もあなたちゃん泣いてなかったし…
(なまえ)
あなた
そうだったね
俺たちは…



昔お互いを助けたことがある



小学校の頃



周りより小さかった俺は…いじめられていた
ヒラ
いたいいたいよぉ
「おまえ小さいくせに ちょうし のってんじゃねえよ!」

「こーすけいないとオレらおいはらえもしないのかよ」
「おまえは すみ でおとなしくしてろよ!」
ヒラ
うぅ…やめてぇ
こーすけと一緒だったら何もされなかった


こーすけ見た目的にちょっと怖かったから


でもいなかったら…


袋叩きにされるし、靴隠されるし


大変…


それを…
あなた
ヒラくんをたたかないで!
「うわっあなたちゃん…」

「あいきどうチョーつよいんだぜ?」

「にげよ!」
あなた
つぎやったらなげとばすからね!
先生にいいつけてやる!
ヒラ
あなたちゃん…
あなた
(σ-д・´)ベーッだ!!
ヒラくんだいじょうぶ?
保健室いこ
ヒラ
うん…ありがとう
あなたちゃんは俺のヒーローでもある


その数年後


その貸しは返される



中学校…



あなたちゃんはちょっと浮いてた



そのせいかいじめの標的にされていた



合気道できること隠していて



叩かれたりとか暴力的なことを受けていたわけじゃなかったあなたちゃんは



なにも言わなかった



「ほらあなた、持って」
あなた
うん…
荷物持ち
あなた
おはよう
「………」



無視…本当に典型的なやつ
ヒラ
………
「天音本当にまじウケるんだけどw」

「本当にやってくれるんだもんねーw」

「今度何やらせよっか?」
ヒラ
君たち…今の話…
「あっなんだ隣のクラスのちびじゃん」

「なに?ウチら忙しいんだけどー?」

「雑魚は引っ込んでなって感じ」

「(^∀^)σそれな」
ヒラ
今の会話全部録画したよ?
「は?何盗み聞きしてんの?感じ悪…」
ヒラ
感じ悪いのは君たちでしょ?
これ校内放送するよ?俺放送委員に友達いるんだよね〜
「はあ!?」

「絶対嘘よ!そんなこと出来るわけないじゃない!」
ヒラ
できなかったら先生のとこ持っていくよ?
「くっ…」
ヒラ
あなたちゃんにもう関わらないで…次何かあったら、死んだ方がマシな目に合わせるから!
「行こ行こ」

「あんなつまんないやつつれてたらあたし達のメンツ丸つぶれなのよ」
それから彼女たちは何もしてこなくなった
あなた
ヒラくんありがとう
ヒラ
なんの事?
あなた
わかんないならいい!
私は忘れないから
これで借りを返した…


ここで俺はあなたちゃんのヒーローになれたかな?
(なまえ)
あなた
ヒラくんが助けてくれなかったら…
どうなってたか…
ヒラ
ヒラ
あなたちゃんが俺の事助けてくれたお礼だから、気にしなくていいよ!それに何かあったら言って?あなたちゃんが泣いてるのは俺嫌だ…!
(なまえ)
あなた
じゃあ……ぁ…
何か話そうとしてくれた後


あなたちゃんは真っ青になってしまった


「ごめん…」と顔を伏せて一言発したあと


また空を見上げ始めた
ヒラ
ヒラ
そっか…話したくなったら言って?
俺のその言葉に…彼女から返事はなかった…



この時が…



彼女を救う最後のチャンスだった



この時無理にでも聞いておくべきだった



そして気づくべきだった



彼女は精神的にも身体的にもボロボロだって

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