まふまふさんたちと交代でお姉ちゃんが来てくれた
マスカット片手に ん〜おいひい 幸せ〜
うん、皮薄いヤツは手汚れなくていいね
その問いに…私は俯きがちに首を振る
誰にも聞けない…
もしかしたらお兄ちゃんから聞くのが初めてってことに…
こんなに合わないなんて…
大学行った時と彼が上京した時以来だ
ヒラくん…早く話したい…
君の無事を確かめたい…
お姉ちゃんと話をしていたらお兄ちゃんが来た
私はお兄ちゃんからとんでもないことを聞く
…
ヒラくんが…
私は急いでスリッパを履いて
姉に手を取られながら部屋を出た
スーッと音を立てて開けた病室
そして私の前に飛び込んできたのは呼吸器をつけているヒラくん
心拍の音が鳴る機械のピ…ピ…ピ…という音しか聞こえない中で
ベッドで眠る彼だった
同意を求めてお兄ちゃんの方を見るが首を振る
間違いじゃない…
彼に目立った外傷は見当たらないし
生きてる…
頭では分かっていても…
これで無事だと言われて納得がいくだろうか?
自分の目から零れ落ちる大粒の雫が止まらない…
彼の王子様でもなんでもないけど!
ヒラ姫を起こすのは私!
キッスはしないけどねw
そう心に決めて病室に戻る
頭に焼き付いた彼の寝顔を思い浮かべながら…
夜までお姉ちゃん居てくれるかな?
どっちにしろ…
今日は眠れそうにないや
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。