〜フジside〜
なんで行っちゃったかなぁ
ヒラはタイミング考えろとかいうけど…
早い方がいいとかも言うし…
でも俺は…
タイミングが自己中だよ…
あなたちゃんの頭が整理出来てなくて…
この間ボロボロ泣いてた子に…
笑…ってる?
俺が握る彼女の手が熱い
月明かりで一瞬見えた顔は…
赤くなっている気がした
それを言うと俺の手になにか暖かいものがポタリと落ちた
彼女は俺の手を離して自分の手で涙を拭い始めた
俺はそれを慌ててティッシュ持ってきて拭って彼女の頭をそっと撫でた
…
お水飲んで落ち着いたようだ
ほんと俺タイミング…
赤く腫れた目を見られたくないのか…あなたちゃんはほとんど俯きがちだった
その後ろを俺はついて行く
ガチャ
それくらい頭の隅でもいいから…
ほんの一欠片でもいいから意識してくれたら…
なんて…
わがままだな…本当に…
にっこり笑うヒラ
俺はヒラの期待も裏切っちゃいけないんだよね…
俺の方…
少しでも見てくれるかな?
見てくれるかじゃなくて…
向いてもらわないと困るね
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。