第27話

2度目の電話
33
2020/05/06 06:28
2020年10月上旬
園田 合歓
リオ、もう天野あまの先生のとこに戻るのか?
不意に聞かれて驚く。
鈴木 莉生
どうして?
園田 合歓
だって、結論はもう出たし、結論が出てからしばらく経ったけど、生活に何も支障出てなくね?
最近のことを思い返す。
たしかに、一人称は「僕」に代わったけど、それ以外に大きく変わったことはなかった。
結論が自分の中で出たからか、気分が沈むこともあまりない。
園田 合歓
帰ってもいいんじゃねぇの?
鈴木 莉生
そうかもしれない……
色々と思い返しながら返事をした故に、覇気のない声での返事になってしまったからか
園田 合歓
あ、いや、出て行ってほしいって思ってるわけじゃないんだ
合歓ねむが慌てる。
鈴木 莉生
わーってるよ
以前より男らしく話すことが増えたことで「わかってるよ」という言葉すら適当に発音するようになってしまった。
園田 合歓
天野あまの先生に電話してみたらどうだ?
鈴木 莉生
そうだね。してみることにするよ
スマホを起動してメッセージアプリを開く。
今日が日曜日だからか、僚平りょうへいさんはすぐに返事をくれた。
その返事を合図に、電話をかける。
天野 僚平
もしもし
鈴木 莉生
お久しぶり
天野 僚平
久しぶり
鈴木 莉生
いきなり本題に入って悪いんだけどさ、
一息ついて言葉を発する。
鈴木 莉生
──来週、帰ってもいい?

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