第19話

久々の会話
33
2020/05/02 02:54
2020年5月6日
鈴木 莉生
あっ!!!
園田 合歓
ん、どうしたー?
鈴木 莉生
僚平りょうへいさんから……!
園田 合歓
え?
スマホの電源を付けると、ロック画面には「僚平さんがスタンプを送信しました。」という文字。
今までは不在着信ばかりだったが、とうとうメッセージがきた。
園田 合歓
うーん……。返信するか、電話してあげれば?
鈴木 莉生
え?
園田 合歓
勝手に家を出ていったのはリオだし、戻る気があるなら少しくらい事情を説明してもいいと思うよ
合歓ねむの言っていることは間違いではない。
だが──。
鈴木 莉生
なんて話そう……?
園田 合歓
会話なんて予測できるもんじゃないんだから、かけてから考えるんだよ!ほらっ
鈴木 莉生
え、ちょ、
気付いたらスマホを取られ、電話を繋げられていた。
鈴木 莉生
まだ心の準備ができてな──
天野 僚平
もしもし……?
……!
息が詰まる。
合歓ねむは、隣で少しニヤけている。
天野 僚平
もしもし?
僚平りょうへいさんの声ではっと我に返る。
鈴木 莉生
あっ、もしもし……?
お久しぶり……
天野 僚平
久しぶりだな
いきなりの電話だったのに、向こうは動揺していないように聞こえる。
鈴木 莉生
元気に、してる……?
声が上擦うわずる。
天野 僚平
元気じゃないけど。そんなことのために電話してきたのか?
少し、怒っているように聞こえる。
鈴木 莉生
い、いや、そうじゃなくて……
天野 僚平
1年後、本当に帰ってくるなら迎えには行かない。ただ、これだけ聞きたい。いま、どこで誰といるんだ?
咄嗟とっさに答えられず、合歓ねむの方を見る。
親指と人差し指で丸を作ってくれたので、正直に答える。
鈴木 莉生
合歓ねむ、覚えてる?園田そのだ 合歓ねむ
天野 僚平
覚えてるよ。莉生りおと同期の元塾生だろ?
鈴木 莉生
そう。その子の家
天野 僚平
そうか
少しの沈黙のあと、僚平りょうへいさんが口を開いた。
天野 僚平
俺、なにかしたか?

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