第6話

精一杯の強がり
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2020/05/01 21:22
2020年3月8日
鈴木 莉生
僚平りょうへいさんにまだ何も言ってないのは、まだ自分の中でなにも決まってないからだよ
言い訳かもしれない。自分でもよくわからない言葉が口から出て、沈んでいった。
園田 合歓
まぁ、それを整理するためにここに来たんだもんな
鈴木 莉生
うん
園田 合歓
まあまあ、そんなしょげてないで、めし食うぞ!なんだかんだもう昼だ
鈴木 莉生
ご飯、少なめがいいかも……
正直、こんなにも頭の中がごちゃごちゃな状態。ご飯なんて食べられそうにない。
なにより、何も言わずに家を飛び出してきたことに対する罪悪感、恐怖心、不安、様々なマイナスな感情が胸の中で渦巻うずまいていた。
園田 合歓
はい、これいきなりさっき買ったコンビニ弁当で悪いけど
鈴木 莉生
ありがと
園田 合歓
俺は、そのリオの荷物、リオの部屋に運んでから飯食うから先に食ってていいよ
鈴木 莉生
え、いや、自分で後で運ぶよ
園田 合歓
そんな弱っちい声で強がるんじゃねぇよ
ふっと笑うと合歓は、荷物を持って廊下の方へ姿を消した。
食事が出てきてからで申し訳ないと思いつつ、携帯の電源を入れる。
不在着信だ。
何件も。
鈴木 莉生
ごめんなさい、僚平りょうへいさん……
弱い自分は、また携帯の電源を切った。

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