第26話

自分の気持ち
35
2020/05/06 06:11
2020年9月上旬
時はあっという間に過ぎ、大学2年目の夏休みも、もう終わりそうだ。
鈴木 莉生
合歓ねむ……
園田 合歓
どうした?
鈴木 莉生
色々、調べたんだけどさ……
未だに、自分の身体と心がよくわかっていなかった。
生理が来ても絶望はしない。自分の身体を見る度嫌な気持ちにはならない。
それでも、髪を短くするようになってから「男の子?女の子?」って聞かれることが多くなって、男の子に近付けた気がして嬉しかったり、「かっこいい」って言われるのが嬉しかったり……。
正直、自分でもよくわからなかった。
けど、ひとつの結論に辿り着いた気がした。
鈴木 莉生
僕、Xジェンダーかもしれない
園田 合歓
ほぅ
簡単に説明するとXジェンダーとは、自分の性別を複数持っていることを自覚している人の性別のこと。
園田 合歓
クエスチョニングではないのか?
クエスチョニングとXジェンダーは似ているようで別物だ。
鈴木 莉生
クエスチョニングって、自分の性別がわからない人のことでしょ?
園田 合歓
そうだな
鈴木 莉生
ずっと、友達といる時は7割男3割女で、僚平りょうへいさんといる時は2割男で8割女みたいな感覚だったの。
その感覚を自分で理解することが今までできなかったんだけど、Xジェンダーの存在を知って、これかもって思ったから、クエスチョニングじゃない気がするんだよねぇ……
園田 合歓
なるほどな
合歓ねむがこっちをじっと見つめる。
鈴木 莉生
な、なんだよ
園田 合歓
なんか、スッキリした顔してるな
ニカッと笑うと
園田 合歓
良かったじゃねぇか
と言って、どこか別の部屋に行ってしまった。

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