2020年10月上旬
少し声が小さくなってしまう。
莉生ちゃんがいきなり帰ってくると思ったら急に色んな感情が溢れ、涙が出てきそうになった。
話の展開が早すぎて、ほとんど理解できずに終わった。唯一わかるのは、莉生ちゃんが帰ってくるということだけ。
莉生ちゃんがなんで帰って来ようと思ったのか、そもそもどうして家を出たのか、俺の何がダメだったのか、全てわからないまま、俺は日曜日を迎えようとしている。
今までの日々の辛さ、莉生ちゃんが帰ってくる嬉しさ、急展開による焦り、莉生ちゃんの身勝手さに振り回されてしまう情けなさ、様々な感情が渦巻いて、自分の足元を濡らした。
慌てて目元を拭い、「さて」と自分に向かって声をかける。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。