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第28話

涙、そして──
30
2020/05/24 01:46
2020年10月上旬
天野 僚平
え、今なんて?
鈴木 莉生
来週、帰ってもいいかなって……
天野 僚平
お、おう。いいけど、別に……
少し声が小さくなってしまう。
莉生りおちゃんがいきなり帰ってくると思ったら急に色んな感情が溢れ、涙が出てきそうになった。
鈴木 莉生
じゃあ、来週の日曜日に帰るね。急にごめんね。
じゃあ、またね
天野 僚平
話の展開が早すぎて、ほとんど理解できずに終わった。唯一わかるのは、莉生りおちゃんが帰ってくるということだけ。
莉生りおちゃんがなんで帰って来ようと思ったのか、そもそもどうして家を出たのか、俺の何がダメだったのか、全てわからないまま、俺は日曜日を迎えようとしている。
今までの日々の辛さ、莉生りおちゃんが帰ってくる嬉しさ、急展開による焦り、莉生りおちゃんの身勝手さに振り回されてしまう情けなさ、様々な感情が渦巻いて、自分の足元を濡らした。
慌てて目元をぬぐい、「さて」と自分に向かって声をかける。
天野 僚平
莉生りおちゃんを出迎える準備をしなくちゃな

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