その翌日。
土曜日で君の部活もない日だった。
久しぶりに君の家のインターホンを鳴らした。
近づいて来る足音に胸が高鳴る。
ドアが開いて、君が顔を覗かせる。
“ 私。あなたに伝えてない事があるの。”
君は小首を傾げて、不思議そうにしていた。
予想通りの反応だ。
知らない人にこんな事を言われたら、
誰だってそうなるだろう。
すると、お姉さんが出てくるうち
“ ちょっと二人で話しておいで ”と
部屋にあげてくれた。
“ 私は白雪 冬といいます。
君に伝えたいこと…!伝わらないこと…!
全部、聞いてくれる? ”
“ えっと…桜庭 春です。
俺…君の事よく覚えてないんだ。
でも…!
それでもいいなら…聞かせてくれるかな? ”
“ 私は…
君の優しさが…笑顔が…涙が…温度が…声が…
全部が大好きなんです。
こんな事言っちゃいけないんだろうけど…
なんで…どうして…私を忘れたの…? ”
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。