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第1話

消える記憶
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2018/03/31 10:45
桜が舞う中、笑いかけてくれる君の顔を

私が忘れることは…きっとないだろう。

今でも、鮮明に覚えている大切な愛の記憶。

でも、愛が故に記憶が消えてしまうのだ。


それは簡単に…それは突然に。





“ 俺と付き合ってください ”

そう言って、顔を赤らめる君。

初めて聞いた時は、すごく驚いた。

でも、何より…すごく嬉しかった。

それから君と過ごした日々は、

幸せなものばかりで……



こんなことになるなんて、想像もしなかった。






君の教室に行った、あの日。

私が君の名前を呼んだ…

どこにでもある日常の一コマ。

“ 君…誰だっけ? ”

私はその一言で、今でも時々不安になる。

その後の記憶は断片的で…

あまり覚えていない。

ただ、君が冗談を言っている訳ではない…

ということだけは分かった。

悲しくて…苦しくて…

とにかく、あの場から逃げ出したかった。

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