「お疲れ様でーす」
『あなたちゃん、お疲れ様!わざわざ取りに来てもらってごめんね。』
出迎えてくれたのは社長だった。
私は この方に拾って貰えてなかったら 、 今頃どうなってたのだろうか…。
小さい事務所だから 、 余計 親身になって 話を聞いてくれたり 、
一緒に悩んでくれたりする。
第2の 父親的な存在でもある。
「ぜんぜん大丈夫です!ところで、何を……」
社「えっとね 、今度の撮影の詳細! 」
「なるほど!ありがとうございます!」
社「これからもあなたちゃんの活躍に期待してるよー!
やっぱり 、 僕の目に狂いはなかったな。」
「期待に応えられるよう、頑張ります!!!」
社「またなんかあったら言うんだよ。」
「ありがとうございます。失礼します」
そう言って 、 事務所を後にした。
・
・
「ただーいまー。」
((ん……?誰の靴だろ。))
リビングのドアを開けると 、 そこには
『おかえり。お邪魔してます』
た、
た、
たいすけくん?!
「え?」
とっさに固まってしまった私。
母「あら、おかえりなさい。」
((え、お母さんはなんでそんなに平然としてられるの…?))
太「あなたと共演することが決まったから 、 俺の口からも お母さんに報告しに行こうと思ってさ。」
母「そんなわざわざ良かったのに……。
それにしても 、 いい男になったわねぇ。」
太「とんでもない!」
((普通に話してる…))
とても 懐かしい光景に 、 少し変な感じがした 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。