第6話

ドタバタというよりドッカンガッシャン
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2022/04/03 20:27
力也side
さてさて、朝食の時間も大分終盤に差し掛かってきた。
樹と翔平なんかは、もうとっくに
食べ終わって仲良く隣同士でテレビを見ている。
あと顔を見てないのは、おチビちゃん達だな。
昂秀
きょーは、ぼくのしゅきなおうたやうんだー!
(今日は、僕の好きなお歌やるんだー!)
おーしゃんといっおで?
(お〇あさんといっ〇ょで?)
まこともみうよ!!!
(慎も見るよ!!!)
ガヤガヤ話し声と
ドタドタ階段を降りる音とが混じりあって、
中々朝から派手な登場のちびっ子三銃士。
力也
三人とも、おはようは?
俺がそう問えば、トコトコと皆の前に三人でやってきた。
おはよこじゃいましゅ!
おはよぉ!
昂秀
おあよう(おはよう)
満面の笑みで挨拶という名の攻撃を、
朝からぶちかましてきたこの子達は我が家の天使達。
家がベールに包まれたかのよう。
こりゃたまらん。
力也
三人とも席座ってー、ご飯食べるよー!
昂秀
あーい!
これまたテクトコ効果音がついてそうな足取りで
三人は席に着くと、可愛らしく
「いただきます」をしてから朝ご飯を食べ始めた。
拓磨
たっくんのまんま!
そんな和やかな空気とは一変。
横から聞こえてきたのは拓磨の半泣き声。
それと同時に陣くんの声も聞こえてきた。
そうやな、これは拓磨のご飯やもんな。
拓磨
しょーだよ!
たっくんのなおに!(たっくんのなのに!)
これは雰囲気が悪そうだぞぉ。
時間が経つにつれ、段々と拓磨の目にも涙が溜まってくる。
力也
陣くん、どうした?
すると陣くんは呆れ顔で俺に事情を話した。
いやぁ昂秀が拓磨のおにぎりを横取りして。
力也
あーなるほどね。
んじゃ、陣くんは拓磨あやしてて。
了解。お兄ちゃんは昂秀ね。
力也
おう。
どこぞの刑事ドラマのピンチシーン宛ら、
お互いの任務を確認し合うと実行に移った←
力也
昂秀、ちょっとおいで。
昂秀
ん?
俺は昂秀を隣の和室へと連れ出した。
皆の前で叱ると空気が悪くなっちゃうから、
家(うち)ではこういうルールにしている。
昂秀も徐々に理解してきたようで、
少しずつ目に涙を溜め始めていた。
力也
昂秀、
なんでお兄ちゃんが怒ってるか分かる?
涙を溜めるってことは、
悪いことを理解しているってことだから
強く叱らず、なるべく優しく優しく。
昂秀
たっくんの…グスッ…おいぎりたべたから。
(たっくんのおにぎり食べたから。)
力也
うん。じゃあねぇなんで食べちゃったの?
昂秀
…グスッ…グスッ…わかんない。
力也
そっか…分かんないか…。
なら昂秀はそれを食べちゃったとき、
どんな気持ちになった?
昂秀
グスッ……やっちゃたっておもった。
(やっちゃった)
力也
昂秀はどうしたらよかった?
昂秀
グスッ…たべなあ、よかった。
(食べなきゃよかった。)
力也
そうだねぇ。食べなきゃ良かったね。
昂秀
たっくんに、あやまう…(謝る)
俺の手を握りながら、
一生懸命に謝ることを決心した昂秀。
昂秀の小さい手が俺のどデカい手を握る。
力也
よしっじゃあたっくんとこ行こ。
コクっと頷いた昂秀は先陣を切って歩き始めた。
リビングに戻ると、
もうすっかりご機嫌が治った拓磨が
再び朝ご飯を食べていた。
あっ、拓磨。
陣くんがポテポテと重たい足取りで
拓磨に近づいていく昂秀に気づき、拓磨の肩を叩いた。
拓磨
たかひで…
昂秀
…あのね、たっくん、ごめんね。
ぼくね、たっくんにね、いじわるしちゃた。
ごめんねするかあ、きらいになあないで。
ぼくね、たっくんね、だいしゅきだから。
懸命に自分の過ち、
意思を伝えた昂秀は拓磨の前で頭を下げた。
拓磨は頭をポリポリと掻き、うーんと唸った。
拓磨
もう…しあいでね。(しないでね。)
昂秀
うん…ごめんね?
拓磨
たかひで、
たっくんも…たかひでだいしゅき!!!
拓磨が手を広げると、
スポッと抱きついた昂秀。
なんなんだこの可愛い生物は。
ムギゅーと効果音が付きそうなほど、
お互いを強く抱きしめている二人。
いやぁー、いいなぁー。
・・・
なぁお兄ちゃん。
力也
ん?
見とれていた俺の肩を叩き、
陣くんは時計を指さしながら焦っていた。
力也
どうしたんだよ。
…今日って火曜日よな。
力也
そうだね。
今って八時よな?
力也
うん……え?八時!?
もう遅刻確定やな…
周りを見てみると小学生組と彰吾と陸がいない。
恐らくもう既に登校したんだろう。
陸…俺を置いて先に登校しやがって!!!
と、陣くんが怒り心頭な様子で玄関にダッシュ。
しかしそんな陣くんにお母さんが呆れた様子で話しかける。
陣。
え?なに?
陸、ちゃんとあなたのこと呼んでたよ。
んぇ!?
陣くーん!このままだと遅れちゃうよー!
ねぇ陣くーん!!!って。
お母さんの陸のモノマネにツボりそうになったが、
等の陣くんは、言葉で表せないような表情をしていた。
マジ?
で、母さんのところに来て、
「どうしよっか。」って
困った顔で言うから、
「先に行っておいで。」って言ったの。
なるほど…って!急がな!
母さんありがとうな!行ってきま…!
玄関の扉を勢いよく閉め、まともに行ってきますすら
聞こえなかった陣くんに俺とお母さんは顔を見合せ笑った。
力也は?大学。
力也
あー、今日は昼からだから大丈夫。
了解。
じゃっ、ちびっ子達の面倒見てくれる?
力也
はーい。
ってことで、俺はちびっ子軍団の面倒をみることにする。
まぁいつもこんなドタバタ…ドッカンガッシャン
してる僕たち家族の朝はこんぐらいで幕を閉じよう。
っとカッコよく言いたかったけど、
テレビの前で彼らが
まぁたケンカしてるから幕は閉じれない。
もぉー勘弁してよー!
next…

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