"じゃあ次浬の話を教えて?"
「…志帆さんの病状が悪化している。」
"やっぱり…"
そう、志帆さんが倒れた次の日に改めて検査をしたら病気が進行していたのだ。
今のままでは間に合わない…。
"志帆は…どうなるの?"
「移植を待つか、補助人工心臓MMIを付けるか、だな。」
補助人工心臓MMIは前に同じ病気の小学生、杏里ちゃんにも付けた事がある。
あの時は無事成功したけど、また上の人から許可を得ないと行かない。
でももし浮気の件が上の人にも伝わっていたら許可が降りないかもしれない。
"MMIって前に浬成功させたんだよね?"
「まぁ…」
"志帆にも…出来ないかな?"
里帆姉は頭を下げているが実際、許可が降りたとして、手術をしても100%助かる訳ではない。
医者にとって決してしては行けない事だけど失敗してしまう可能性もあるのだ。
今の俺に手術は出来るのだろうか。
フラフラしている俺に…
でも志帆さんは危ないのだ。
絶対に助けないといけない。
今は恩人だからとかじゃなくて1人の患者さんとして助けないと行けない。
「分かった、申請書出してみる。」
"ほんと?ありがとう…"
心を入れ替えて、俺は絶対志帆さんを救うんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。