約1ヶ月後。
"浬、本当にありがとうございました。"
"私からも、ありがとう。"
「お元気になって本当に良かったです、お大事に。」
"ありがとう…あっ!浬前言ってた事覚えてる?"
「前言ってたこと?」
"うん、七瀬ちゃんに謝りたいって言う話。"
「あぁ、本当に大丈夫ですよ。」
"いや、私が謝りたいのっ。"
「…分かりました。俺が東京に帰ったら連絡します。」
"わがままいっぱい聞いてもらって本当ありがとね。"
「いえ、志帆さんは俺の命の恩人、なので。」
"大袈裟よ、まぁ浬も私の命の恩人だけど、笑"
「お互いに、ですね。笑」
"そうだね、笑"
"もう志帆、長居して無いで早く行くよ。"
そう言って里帆姉は志帆さんを一注意して、俺に目を向けた。
"浬、志帆のわがままで七瀬ちゃんと離れさせてしまってごめんね。あと手術とか色々ありがとう。"
「いや、里帆姉こそ鹿児島に着いてきてくれたり色々とありがとな。」
"うんん、七瀬ちゃんを幸せにしてあげてね。"
「もちろん、そのつもり。」
"ふふっ、じゃあ行くね。"
「あぁ。」
"私もいつか七瀬ちゃんと直接会わせてね。"
「気が向いたらな、笑」
"楽しみにしてる。笑"
そういって姉妹は里帆姉の車に乗って帰って行った。
俺は車が見えなくなるまで見送った。
いろんな思いを抱えて。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。