第6話

決める権利
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2021/01/04 10:01
ピンポンピンポン(チャイム)


家に帰ってぼーっとして何時間経っていたのだろうか。
もう外は真っ暗だ。

それにしてもこんな時間に訪問者…誰だ?


「はい。」

"やっほー!"

"顔、死んでるぞ?笑"

「こんな時間に…」

"心配して来たんだよ?"

"とりあえず入るね。"


来生と姉貴…今から説教かよ…?


"あの写真の相手、志帆さんだろ?"

"志帆さんって…あの?"

「ああ。」

"何があったか、教えてくれないか?"

"私も知りたい。"


俺は志帆さんとのことを話した。


"お前、ほんとバカだな。"

「うるさい。」

"七子ちゃんに言ってたら分かってくれたはずなのにねぇ。"


そんなの俺が1番分かっている。
相談する事ができなかったけど。


"佐倉ちゃんに天堂と話し合ってみたらって言ったんだけどね…"

"七子ちゃんなんて言ってたの?"

"「やっぱり天堂先生には美人がお似合いなんです」って。"

"うわぁ、七子ちゃん言ってそう…"


俺には美人がお似合い…
いや、俺はあいつが1番、七瀬しかいないんだ。
今そんなこと言っても手遅れだろうけど。


"七子ちゃんと話してみたら?"

"いま酒井さんの家にいるよ。"

「いや俺が志帆さんと関係を持ったのは事実だから」

"じゃあ…どうするの?"

「七瀬に任せる。」

"任せるって?"

「七瀬が話したいって言ってくれるなら話すし、別れたいって言うのなら別れる。」

"本当に天堂はそれで良いのかよ。"

「あぁ、俺に決める権利はないから。」


そうだ、俺がごちゃごちゃ言う権利が無ければ、今更お前しかいないなんて言う権利もない。

なにもかも全部、俺のせいなんだから。


"じゃあ帰るね。"

"お前、何か食べろよ。"

"死なれたら困るからね?"

「ああ。」

"じゃあ。"

「ありがとう。」


話を聞いてくれ、共感してくれる来生と姉貴が来てくれて良かったと思う。

でもできるなら…少しでも七瀬と話したい。

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