第18話

頑張れ勇者!
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2021/01/14 02:32
__七瀬side__


家に帰ったら1人の綺麗な女の人が居た。
先生とホテルに行ったあの女の人だと思ったけど双子のお姉さん。
すごく似ている。


『どうしたんですか、?』

"本当に、妹と浬がごめんなさい。"

『いえ、もう大丈夫ですよ?』


いや、本当は大丈夫じゃない。
私は毎日浬さんを求めてしまう。
隼人と一緒にいても浬さんの事で頭がいっぱいだ。

でも…今日なんで浬さんは来なかったのか。
里帆さんが1人で来たの?

会いたかった。一瞬でも。
でも浬さんにはもう相手がいて、私にも隼人がいる。
隼人は私を求めてくれているのに私はなんて最低な奴なんだろう。


"実は、ついさっきまで浬ここに居たんです。"

『え?』

"でも急患が出てしまって帰っちゃって…"

『そうなんですね…』


あと少し、もう少し早く帰れていたら会えていたんだ。
すれ違い、切ないなぁ。
…なんて思ってしまう自分が憎たらしい。


『でもなんで里帆さんだけ鹿児島に?』

"浬が七瀬さんに会いたいって言ってたから浬の伝えたかった事を私が伝えようと思って…"

『私に…会いたい?』


浬さんはまだ私を求めてくれているの?
もしそうなら私も求めているよ。
でもお互いに相手が居る、もう後戻りは出来ないのだ。


"浬がうちの妹と浮気した理由、知ってますか、?"

『知らないです…』

"実は…


里帆さんは淡々と確実に話してくれた。
内容が少女漫画に出てくるように切なくて思わず涙が溢れる。


『そんな事があったんですね…』


浬さんが私に相談してくれていたら良かったのかもしれないけど浬さんは志帆さんの願いを叶えた。
浬さんも志帆さんも悪くない。

それなのに私は何も知らず‘ショックでした’なんて浬さんに言ってしまった。
浬さんが1番ショックだったはずなのに。
命の恩人が元恋人と同じ病気になってしまってどうしようもなく悔しかったはずなのに…

私が浬さんの変化に気付いてあげられていたら。
隣で寄り添ってあげていたら…こんな事にならなかった。
誰も傷付かずにすんだ。

何年も浬さんの隣に居たはずなのになにやってんだろ、私…

今すぐ浬さんに謝りたい。
そして志帆さんにも。
何も知らずショックだと言ってしまった事、浬さんの変化に気付いてあげられなかった事。


"七瀬さんは浬の事まだ好き、ですか?"

『…まだ…好きです。』


変わらず好きだ。
むしろさっきの話を聞いてまた浬さんの優しさに惚れてしまった。
 

"じゃあ会いに行きませんか?浬に。"


本当は今すぐ…今すぐ会いに行きたい。
でも私には隼人がいる。
隼人を裏切ることはできない。


『でも私…彼氏がいるんです…』

"え?"


里帆さんは驚いている。
そりゃ、側から見たら私は軽い女だ。


『浬さんが好きだけど…』

"そうなんですね…でも良いんですか?それで。"

『彼氏は私が彼を好きになるまで待つって言ってくれてるから裏切れないんです…』

"裏切る、ってなんですか?"

『え?』

"浬が好きなら好きでそれが七瀬さんの気持ちだから…彼氏さんの事が好きじゃ無いのに一緒に居ても彼氏さんは嬉しくないと思いますよ…?"


それはそうだ。
でもそんなに簡単には行かない。


"彼氏さんと話してみてはどうですか…?"

『…』

"勇者、ですよね?笑"


そう言って里帆さんはニカッと笑う。

勇者…そうだ私は勇者だ。
こんな事で浬さんを諦めたくない。
私の運命の人はきっと浬さんなんだから。


"よし、気持ちを切り替えてどこかに食べに行きませんか?笑"

『…はい!』

"鹿児島案内してください!"

『もちろんです!』


里帆さんが一押し、押してくれた。
勇気を振り絞って隼人と一度話し合ってみよう。

頑張れ、勇者!


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今日学校が休校になってしまったので今日あと何個か投稿します❕

それにしても最近小説書くのが楽しすぎる😽🤍
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