次の日。
「じゃあ、行ってくるな。」
『はいっ…行ってらっしゃい…っ!』
七瀬は天堂を心配させないよう、涙を堪えながら無理矢理笑顔を作って言った。
もちろん、天堂はすぐに無理をしていることがわかった。
「泣くなよ…笑」
『泣いてませんっ…!』
「フッ…数ヶ月後には必ず帰ってくるから。」
『はい…頑張ってください…っ!』
「お前も頑張れよ。」
そういって天堂は七瀬をそっと抱きしめた。
『…浬さん、愛してます。』
「俺も、宇宙一愛してる。」
『フフッ…わっ、もうこんな時間です!』
「本当だ、じゃあ行ってくる。」
『いってらっしゃい!』
天堂からの「愛してる」を聞けて安心した七瀬は今度こそ本当の笑顔で天堂を見送った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!