第35話

気まずい空気は避けられない件
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2020/04/02 13:22
食事も終わり、エントランスに集合
・・・・・・食事が班ごとじゃなくてほんとに良かった。ほんとにほんとに
だって、男子二人と合わなくて済むんだよ?まあ今から会うけどさ・・・・・・
まだ心の準備が出来てないのっ!
本音を言えば、もう今日一日は顔を合わせずにいたいくらいなんだけど・・・・・・流石にそんなことできない
花恋は私に『今日は男女別にする?』って聞いてくれたんだけどね?
でも、樹里に言うのは、今日しかないんじゃないかなって思うの
返事を伸ばしっぱなしにするにつれて、言いにくくなって来ると思うから
だから、樹里に会って・・・・・・二人きりで、言う必要がある
すーっと息を吸い、肺の中が空っぽになるほど、大きく吐いた
緊張からか、ドキドキと心臓が高鳴る
まだ会ってもないのに・・・・・・!こんなんじゃ、今からどうするの、私!
ぺちぺちと自分の頬を叩いて気合を入れていると、後ろから聞き慣れぬ声で名前を呼ばれた
男子生徒 2
あのー、卯月さん?
卯月 心春
卯月 心春
はい?
くるりと後ろを振り返ると、昨夜エレベーターで一緒になった男子生徒が2人、立っていた
どこかそわそわしたように落ち着きがなく、しきりに視線を左右へ泳がしている
私になんの用事だろ?
ってか、なんで名前知ってるの?
男子生徒 1
まじで卯月さんだったんだな
男子生徒 2
ああ。髪を下ろした姿も可愛かったけど、一つ結びもうなじが堪んねぇって
にひひと気味の悪い笑みを口元に湛えながら、2人は声を潜めながら話している
失礼なのは重々承知で言うけど・・・・・・顔、ほんと大丈夫?
岩見 花恋
岩見 花恋
心春?
横でスマホをいじっていた花恋が、なにか気づいたのか私の方を見た
自然と花恋の視線は私が向いている方────男子生徒たちに移る
すると、一瞬むっと顔を顰め、花恋は私の手を取って歩き出した
卯月 心春
卯月 心春
かっ、花恋?
岩見 花恋
岩見 花恋
もー。あんな変なのがいたらどっかに逃げなきゃダメでしょ?
卯月 心春
卯月 心春
変なのって・・・・・・仮にも同級生だよ?
岩見 花恋
岩見 花恋
同級生だろうが変なのは変なの!そこんとこ、ちゃんとしとかないと・・・・・・襲われるよ?
卯月 心春
卯月 心春
襲われ・・・・・・いや、運動にだけは自信あるんで。返り討ちにしたげるよ?
岩見 花恋
岩見 花恋
そっちじゃないんだけどねぇ・・・・・・
落胆したように顔に手を当て、空を仰ぐ花恋
ってか、どこまで行くの、これ
あの人たちが居るにしろ居ないにしろ、そろそろ戻らないと、集合時間がやばいと思うんだけどなぁ
未だに足を止めない花恋に聞こうとすると、不意にぽんっと肩に手を置かれた
卯月 心春
卯月 心春
ひゃいっ?!
全く予知していなかったことに、反射的にまた変な声が出た
・・・・・・なんか、デジャヴを感じる
そろっと体ごと回して後ろを見ると─────無表情のまま佇む樹里がいた
もちろん、右手は私の肩近くに浮いていて、今の衝撃は樹里によるものだと一目見てわかる
倉石 樹里
倉石 樹里
おはよ
卯月 心春
卯月 心春
おっ、おはよう!
どうにかして笑顔を作り、挨拶を返す
ぎこちなくなってしまったかもしれないけど、これが今の私に出来る精一杯の対応
─────どうしても、昨日のことを思い出してしまう
断らなきゃいけない。でも、今は周りに沢山人がいるし、言えない
解散してからどうにかして呼び出さなきゃ・・・・・・
由紀先生
おいお前ら・・・・・・即刻整列しろ
神か、悪魔か───────もしくは死神か
由紀先生の指示という名の脅迫は、今の私にとっては闇の中に現れた救世主並みに有難いものだった
よかった・・・・・・とりあえず樹里から解放されそう
花恋が察してくれたのか、私の手を握り直して、踵を返した
樹里の横をすり抜け、その後ろにひっそり居た葵に挨拶する暇さえなく
スタスタと早歩きし、元々いた場所までたどり着く
そこに着くまで、周りの騒がしさは0どころかマイナスになっていた
由紀先生の脅しがよく効いたらしい
今更ながら、由紀先生の恐ろしさを思い出し、それを救世主と思った私は余程樹里に言いたくないのだなと、実感した
・・・・・・っていうか、地味子解除したこと、樹里何も言ってこなかったな
許してくれた・・・・・って捉えていいのかな?

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