私たちの教室、2-Aに着いた
ガラガラと花恋が扉を開けると、ワイワイと騒がしかった教室が一瞬、静まる
でもそれは本当に短い時間で、すぐにわっと入口に立つ花恋の周りに人が集まった
黄色い悲鳴から、友達に話しかけるような軽い声までと様々だ
そんなクラスメイトを一掃し、スタスタと私の手首を掴んだまま歩いていく
にこにこと笑顔を振りまいていたクラスメイトたちが、私が横を通る時になると「こいつと一緒かよ」「運ねーわ」と呟く
はぁ・・・・・・めんどくさい
ちなみに、なんでこんな格好をしているかと言うと、理由がある
幼馴染に言われたの。この格好をしとけって。ほんと謎だよね
気持ちを改め、黒板に貼ってある席順の書かれた紙を見に行く
名前順の出席番号だから、去年、私と花恋は前後の席から始まった。だから仲良くなったの
今年もそうであれ・・・・・・と僅かな願いを持ちながら、目で確認する
自分のを確認したあとで、花恋の番号も見ようとする
が、それよりも前に、横にいる花恋から抱きつかれた
ぱあああっと、太陽に負けないくらい明るい笑顔で私を見る
ああ、もう、可愛いなぁ
私には勿体ないくらい可愛い
黒板から離れ、2人で足早に席に向かう
廊下側に面した、1番端の列
前から2番目と3番目の席にそれぞれ座ると、ちょうどくるりと後ろを向いた花恋と目が合った
満面の笑みで「これからもよろしくっ!」と言う花恋に対し、私は「もちろん」と笑顔を添えて返事をした
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。