神野くんの机に集っていた1人で、確か私を委員長に推薦した人
そんな彼女と、その友達と思わしき生徒は、こめかみに青筋が立ちそうなほど、イライラしているらしい
そうやって感情を表に出しているのが威嚇のつもりなのかもしれない
生憎、私の怒りは、たったそれだけで怖気付くほど中途半端ではなかった
煽りにつられ、クラスメイトも私を蔑むような目で見てくる
関係ない。それに、誤解しているのはそっちの方だ
言葉足らずな私が悪い・・・・・・といえばそうかもしれない
だけど、些か早計すぎる
馬鹿にするような笑いを含んだ問いかけに、間を置かずに即答する
断言した私に不満が募ったのか、さっきよりもイライラとした声が放たれた
私が淡々と連ねた言葉に、驚きのあまり目を見開き、次の言葉に詰まった様子の女子生徒
そんな彼女に、私は本当に言いたいことを言ってやった
たとえそれが、私の知らない人であったとしても
いつの間にか、震えはどこかへ消えてしまった
武者震いだったのかな・・・・・・とか思い、そしてはっと我に返る
め、目立ちすぎた・・・・・・っ!
目立たないように過ごしたかったのに・・・・・・!怒りに任せて言っちゃったよぉぉぉ!
なーんて思っても、結局後の祭りなのには変わりなく
頭の中ではぐるぐると色んな感情が駆け巡りながらも、顔には一切出さずに、至って澄まし顔で黒板の方に戻る
無言で黒板消しを滑らせる私は、耳まで真っ赤だったことだろう
怒りと恥ずかしさとで、私の思考回路は大爆発を起こしそうになっていた
物言えぬ空気が漂う中、帰ってきた花恋が1人、教室のドアを開ける
声を高らかに上げた花恋の言葉は、そこで途切れる
脇目も振らずに黒板消しを動かす私と、呆然と私を見て歯ぎしりをする女子生徒
そして動揺した様子のクラスメイトと、黒板消しを片手に突っ立つ神野くん
異質な空気を漂わせる教室内
一切現状が飲み込めない花恋は、間の抜けた声を発した
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!